認知症の支援を考えるとき、高齢者向けのサービスを思い浮かべることが多いと思います。でも、若い世代で認知症になった人にとって、その場が自分に合っているかは、また別の問題ですよね。第258回では、若年性認知症の人の利用実態や選択肢にも目が向けられました。
認知症の人と家族の会の志田信也委員は、通所介護などで若年性認知症利用者受入加算の算定率が低いことに言及しました。ただし、高齢の認知症の人と比べて対象者が少ないことも踏まえた発言です。算定率の低さだけで、受入れが進んでいないと断定したわけではありません。
そのうえで志田委員は、介護保険サービスだけでなく、障害福祉サービスも含めて、若年性認知症の人がどのような社会福祉サービスを利用しているのか調べてほしいと求めました。特定の加算の数字を確認するだけでは、本人の暮らし全体が見えないからです。
日本慢性期医療協会の田中志子委員も、志田委員の発言に触れ、若年性認知症の人の通いの場と、サービスを選ぶ際の制度上の課題を取り上げました。そして、担当部局をまたいだ検討を求めています。
ここは、制度説明と委員の問題提起を分けて読む必要があります。田中委員の発言を、そのまま「介護保険の対象になると障害福祉サービスは一切利用できない」という一般的なルールとして紹介するのは適切ではありません。議事録で押さえるべきなのは、本人に合ったサービスの選択が妨げられていないか、制度を横断して考えてほしいという問題意識です。
たとえば、本人が人と交流したい、役割を持ちたい、自分に合う活動を続けたいと思っていても、利用できる場所の内容が合わなければ、通うこと自体が難しくなるかもしれません。これは発言の背景を理解するための例ですが、事業所が存在することと、その人が通い続けられることの違いを考える助けになります。
今回、具体的な制度変更が決まったわけではありません。まず必要とされたのは、介護保険の利用実績だけに閉じず、本人がどこで何を利用し、何に困っているのかを確かめることでした。少数の利用者の課題だからこそ、全体の算定率だけでは見えにくい事情に目を向けたいですね。
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文責・監修:株式会社M&Cパートナーコンサルティング
原稿作成日:2026年10月22日
対象:2026年6月15日開催・第258回社会保障審議会介護給付費分科会の公開資料・議事録
本稿は第258回当日の発言の要約、背景説明、筆者の読み取りを含みます。会議で述べられた意見・提案は決定事項ではありません。後続会議の結論を反映した現行制度の案内ではないため、最新の厚生労働省資料・告示・通知等は読者ご自身でもご確認ください。
参照:議事録13、28ページ。背景資料:資料1。

