―専門的な受け皿と他サービスの役割―
認知症対応型通所介護は、事業所数も利用者数も減少傾向にあります。ただ、その数字をどう受け止めるかについては、異なる視点が示されました。ここは、議事録編だからこそ丁寧に読みたいところです。
認知症の人と家族の会の志田信也委員は、認知症対応型通所介護が、本人と家族にとって重要な受け皿になっていることを説明しました。一般の通所介護で周囲との関係がうまくいかず、本人も家族も傷つくことがある。そのようなときに、認知症に対応できる場が支えになる、という発言です。
この話を、一般の通所介護では認知症の人を受け入れられないという意味に広げるのは適切ではありません。志田委員が伝えたのは、他の場では利用が難しくなった人を受け止める専門的な機能を、サービスの必要性を議論する際に忘れないでほしい、ということだと私は受け止めています。
一方、全国老人保健施設協会の東憲太郎委員は、認知症対応型通所介護の利用減少について、一般の通所介護や通所リハビリテーションが認知症の人を受け入れているのではないか、という見方を示しました。人材不足や小規模事業所の運営の厳しさを踏まえ、サービスの提供の在り方を検討する時期ではないかとも述べています。
ここで注意したいのは、他サービスへの移行が減少の原因だと、データで確認されたわけではないことです。東委員は、その可能性について見解を示しています。また、両委員の発言を、その場で直接反論し合ったように描くのも正確ではありません。
日本医師会の江澤和彦委員は、中重度の認知症の人が在宅にどの程度いて、どこに住んでいるのか、データを共有したうえで議論する必要があると述べました。この指摘は、二つの視点を検討するためにも重要です。
私は、論点は単純な「残すか、なくすか」ではないと思います。誰が、どのサービスで、どのような支援を受けているのか。他の事業所で対応できる部分と、専門的な環境が必要な部分は何か。今回の発言は、その実態を確認しながら受け皿を考える必要性を示しています。サービスの廃止や統合が決まった会議ではありません。
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文責・監修:株式会社M&Cパートナーコンサルティング
原稿作成日:2026年10月22日
対象:2026年6月15日開催・第258回社会保障審議会介護給付費分科会の公開資料・議事録
本稿は第258回当日の発言の要約、背景説明、筆者の読み取りを含みます。会議で述べられた意見・提案は決定事項ではありません。後続会議の結論を反映した現行制度の案内ではないため、最新の厚生労働省資料・告示・通知等は読者ご自身でもご確認ください。
参照:議事録13、24、28~29ページ。背景資料:資料1。

