介護人材の確保というと、採用を増やす方法に目が向きがちです。ただ、第257回では、現場で発揮されている専門性が評価され、職員が働き続けられる条件が整っているかという点が問われました。人を集めることと、力を発揮しながら定着できることを、あわせて考える議論です。
日本介護福祉士会の及川ゆりこ委員は、小多機、看多機、グループホームが、本人への介護だけでなく、家族や地域の生活を支える拠点として重要だと述べました。その機能を担う介護福祉士の専門性や役割を、報酬体系や職員配置の仕組みで適切に評価する必要があるとしています。
及川委員は、サービス提供体制を評価する加算だけでなく、基本報酬の中での評価にも言及しました。また、制度上の評価が、事業所で働く介護福祉士本人の処遇にも反映される環境づくりを求めています。専門性を評価するという言葉を、給与や働く条件につながる仕組みとして考えることが大切なのですね。
専門性は、資格を持つ職員が何人いるかという数だけでは捉えにくい面もあります。これは解説としての例ですが、認知症の方の小さな変化に気づく、本人が落ち着ける関わり方をチームで共有する、家族の不安を受け止めて支援を調整する。こうした働きが、日々の生活の安定を支えます。その役割が評価され、経験を積むことが将来につながると感じられるかが、定着にも関わると私は考えます。
連合の平山春樹委員は、夜勤、緊急対応、家族支援、看取りなど、地域密着型サービスの職員が担う幅広い役割と負担を挙げました。そして、さらなる処遇改善や、安心して働き続けられる職場環境につながる制度的支援を求めています。
第9回で取り上げた夜勤中の休憩も、この議論とつながります。専門性の高いケアを期待するのであれば、職員が疲労をため続けず、学び、相談しながら実践できる条件が必要です。給与の評価と、勤務の負担、支援体制は、切り離して考えにくいものです。
中津市長として発言した奥塚正典委員は、市街地と中山間地の双方を抱える地域の状況に触れました。そのうえで、サービスの質を維持しながら柔軟な人員基準の運用を進めることや、見守り・記録業務の負担を軽くするICTの活用を求めています。人手を確保する難しさに対し、業務の進め方から対応する視点です。
この発言も、単に機器を導入すれば人員を減らせるという話として受け取るのは適切ではありません。奥塚委員は質の維持を前提にしています。私は、負担を軽くすることで生まれる余力を、ケア、対話、研修、休息などにどうつなげるかまで含めて考えたいと思います。
及川委員は専門性とその評価、平山委員は役割に伴う負担と働く条件、奥塚委員は現場の運営を支える工夫に重点を置いています。それぞれの発言をつなぐと、人材確保の議論には、専門職としての将来、日々の働きやすさ、質を保つ運営の仕組みが必要だと見えてきます。具体的な評価方法や改定内容は今後の検討ですが、現場の仕事の中身を報酬や処遇へどう結びつけるかという課題が明確に示されました。
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文責・監修:株式会社M&Cパートナーコンサルティング
原稿作成日:2026年10月21日
対象:2026年5月25日開催・第257回社会保障審議会介護給付費分科会の公開資料・議事録
本稿は第257回当日の議論を対象とし、後続会議の結論を反映した現行制度の案内ではありません。検討段階の提案を含むため、最新の厚生労働省資料・通知等は読者ご自身でもご確認ください。
出典・参照箇所
厚生労働省 第257回社会保障審議会介護給付費分科会 議事録 12~14、22~23頁(PDFのページ番号)
上記資料・議事録をもとに発言を要約し、解説を加えて作成。所属・役職は会議当日。最新の厚生労働省資料・通知等は読者ご自身でもご確認ください。

