病院を退院できることと、自宅での生活が安定することの間には、調整が必要な時期があります。体調の変化を見ながら、食事や入浴、家族の介護負担にも対応しなければなりません。看多機は、訪問看護と小多機の機能を組み合わせ、通い・泊まり・訪問を通じてその時期を支えるサービスです。
第257回で日本看護協会の田母神裕美委員は、看多機が医療ニーズのある中重度の方を受け入れ、退院後の生活や看取りを支えている点を取り上げました。退院直後には状態が十分安定していないこともあり、看取り期には泊まりや訪問看護などの手厚い対応が必要になる。その役割に見合う評価を充実させるべきだ、という意見です。
ここでいう負担は、特定の処置を何回行ったかだけでは表しにくいものです。説明のための例ですが、退院した方の食事量や呼吸状態が変われば、主治医に相談し、訪問の時刻を変え、必要に応じて泊まりを調整することがあります。家族にも、何を観察し、どのようなときに連絡するかを伝えます。状態が変わるたびに支援を組み直す働きまで含めて考える必要があります。
田母神委員は、登録者以外の地域住民を緊急に短期利用で受け入れる場合にも言及しました。必要な対応には、空きの確認に加え、職員やケアの体制の調整が伴います。こうした受入れの実態に即した報酬設定を求めています。資料に示された受入れ状況は調査回答事業所の結果ですので、全国の全事業所が同じように対応しているという意味には広げられません。
もう一つ具体的だったのが、外部の訪問入浴との連携です。事業所の設備や本人の状態によって、看多機だけで希望する入浴を実現しにくい場合があります。田母神委員は、事業所が費用を負担して外部の訪問入浴を利用するような対応について、包括報酬の中で負担を抱えることの限界と、その評価の必要性を指摘しました。
私は、この発言には、本人の生活上の希望をかなえるために生じる調整や費用をどう扱うかという問いがあると読みます。看取り期の入浴は、単なる設備の問題ではなく、本人の快適さや家族の願いに関わる場面でもあります。ただし、外部サービスの新たな給付方法が、この会議で決まったわけではありません。
日本医師会の江澤和彦委員は、医療機関からの受入れや看取りへの対応を踏まえ、主治医や病院との連携を一層深める必要があると述べました。具体的には、顔の見えるカンファレンスなどに触れています。情報が届くだけでなく、状態が変わったときに相談できる関係をつくることが、切れ目のない支援につながります。
連合の平山春樹委員は、医療的ケアに加え、夜間・緊急対応や看取りによる身体的・精神的負担を取り上げました。看多機に期待する機能が大きくなるほど、それを担う看護・介護職員の確保や処遇も一緒に考える必要がある、という視点です。
看多機の議論では、受け入れた人数だけでなく、どのような状態の人を、どのような調整によって支えているかが問われました。退院後に暮らしを立ち上げる支援、急な変化への対応、人生の最終段階の支援。その中身と、それを続けられる体制をあわせて評価することが、各発言を読むうえでの大切なポイントです。
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文責・監修:株式会社M&Cパートナーコンサルティング
原稿作成日:2026年10月21日
対象:2026年5月25日開催・第257回社会保障審議会介護給付費分科会の公開資料・議事録
本稿は第257回当日の議論を対象とし、後続会議の結論を反映した現行制度の案内ではありません。検討段階の提案を含むため、最新の厚生労働省資料・通知等は読者ご自身でもご確認ください。
出典・参照箇所
厚生労働省 第257回社会保障審議会介護給付費分科会 議事録 9~11、13~14、23頁(PDFのページ番号)
上記資料・議事録をもとに発言を要約し、解説を加えて作成。所属・役職は会議当日。最新の厚生労働省資料・通知等は読者ご自身でもご確認ください。

