ある地域に小多機や看多機が少ないと分かったとき、次に何を確かめるべきでしょうか。第257回では、サービスの普及を考えるに当たり、その地域で既にどのような支援が行われているのかを見てほしい、という意見が出ました。必要なサービスを確保する方法を、地域全体から考える議論です。
経団連の清家委員に代わって出席した間利子晃一参考人は、小多機の普及が求められる一方で、利用者確保に苦労している状況も資料に示されている点に着目しました。そして、個々のサービス類型の普及だけでなく、他のサービスの多機能化や、人材を含む資源の活用方法も検討できないかと提起しています。
この発言を、単に小多機を増やすことへの反対とまとめてしまうと、検討の視点が伝わりません。間利子参考人は、小多機のニーズや機能を理解していると述べたうえで、限られた人材・財源の中で、そのニーズを地域としてどう満たすかを問いかけています。
全国老人保健施設協会の東憲太郎委員も、周辺の老健などが担っている機能を含めて分析する必要があると述べました。例えば、医療的な対応を伴う短期入所や訪問リハビリテーションなど、既存施設が提供している支援との関係です。小多機・看多機という名称の事業所がない場合でも、その機能の一部を地域の別の資源が担っている可能性がある、という見方でした。
もちろん、サービス名が違っても完全に同じ支援ができると確認されたわけではありません。通い、訪問、泊まりをなじみの職員がつないで提供することと、複数の事業所を調整して利用することでは、本人の体験や連携の仕方が異なります。私たちが比較する際には、機能が重なる部分と、それぞれの強みを具体的に分けて見る必要があります。
日本医師会の江澤和彦委員は、新しい事業所ができると地域内で職員確保の競争が強まる可能性にも触れました。地域に必要なニーズと事業所の配置を把握し、訪問系、通所系、短期入所などを含めて提供体制を考えるべきだという意見です。建物や定員を増やしても、地域全体で担い手を確保できなければ、期待した機能を発揮できないことがありますね。
民間介護事業推進委員会の今井準幸委員は、通所介護や短期入所から訪問を提供するような仕組みが今後導入される場合、既存の小多機や定期巡回などとの違いが分かりにくくなるのではないかと指摘しました。そのため、サービスごとの機能と役割を整理する必要があると述べています。これは、将来の仕組みを前提にした検討上の指摘として読むところです。
私は、一連の発言を、整備数を考える前に、地域で足りない支援の中身を確かめようという提案として捉えています。説明のための例ですが、日中の通い先は足りていても、夕方の訪問や緊急の泊まりが足りない地域なら、その不足を埋める方法から考えることができます。
事業所数、サービスの機能、地域の人材。この三つをあわせて見ることが、今回の議論のポイントです。既存資源の活用を進める場合にも、小多機を新たに整備する場合にも、本人・家族に必要な支援が実際に届くかを基準に、具体的な体制を検討していく必要があります。
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文責・監修:株式会社M&Cパートナーコンサルティング
原稿作成日:2026年10月21日
対象:2026年5月25日開催・第257回社会保障審議会介護給付費分科会の公開資料・議事録
本稿は第257回当日の議論を対象とし、後続会議の結論を反映した現行制度の案内ではありません。検討段階の提案を含むため、最新の厚生労働省資料・通知等は読者ご自身でもご確認ください。
出典・参照箇所
厚生労働省 第257回社会保障審議会介護給付費分科会 議事録 15、19~21、23頁(PDFのページ番号)
上記資料・議事録をもとに発言を要約し、解説を加えて作成。所属・役職は会議当日。最新の厚生労働省資料・通知等は読者ご自身でもご確認ください。

