こんにちは。村上佳子です。
利用者宅で同じ時間の介護を提供していても、その前後にどれだけ移動するかで、職員の一日の働き方は変わります。車で離れた家を回る場合と、同じ建物の中で複数の利用者を訪問する場合では、必要となる時間や費用が違いますね。
今回の資料は、その違いを報酬の仕組みにどう反映するかを取り上げています。
現在の減算方式から、報酬区分の見直しへ
現行の訪問介護には、同一建物等の利用者への提供について、一定の条件で報酬を減算する仕組みがあります。移動の負担が少なく、効率的に提供できることを報酬に反映する考え方です。
今回の資料では、住まいや移動の状況、事業規模、サービス提供回数などに関する調査が示されています。例えば、徒歩で訪問できる利用者が多い事業所では、サービスの組み方や時間帯別の提供状況にも違いがあることが示されています。
ここから提案されているのが、現行の減算による評価に代えて、移動コストや提供実態をより適切に反映する報酬区分の見直しです。
この論点は、減算率を何%にするかという調整にとどまりません。どのような提供形態を、どの報酬区分で評価するかという、報酬体系の組み立て方に関わります。
ただし、新しい区分や具体的な単位数は示されていません。「集合住宅への訪問は一律にこの報酬になる」と説明できる段階ではないことに注意が必要です。
中山間地域では、安定して続けられる報酬が論点
同じ資料の別の論点では、中山間・人口減少地域の戸別訪問型の事業所について、経営の予見性を高める報酬設計が取り上げられています。
予見性というのは、今後の収入や運営の見通しを立てやすいか、ということです。利用者が少なく広い地域に住んでいる場合、移動負担が大きくなります。急なキャンセルがあっても、確保した職員の勤務や移動の準備が、そのまま別の訪問に振り替えられるとは限りません。
資料は、こうした条件の下で年間を通じた安定経営が難しいことを指摘し、移動コストへの対応も含めて、報酬をどう設計するかを問いかけています。
この部分は、人口減少やサービス需要の変化に応じた提供体制に関する分科会で、改めて議論する予定です。資料にある包括的な評価の論点から、全国の訪問介護が一律に定額になると結論付けることはできません。
同じサービスでも、提供条件は異なる
私は、この二つの論点を併せて読むことが重要だと考えます。効率的に提供できる形態をどう評価するかと、効率化が難しい地域でもサービスを維持するにはどうするか。その両面が示されているからです。
建物の種類だけで事業所の状況がすべて分かるわけではありません。利用者の状態、訪問回数、移動距離、事業規模などを合わせて捉える必要があります。
事業所では、サービス提供時間に加え、移動時間、キャンセル、訪問先の分布を整理しておくとよいでしょう。自事業所がどのような条件で在宅生活を支えているかを説明できることが、今回の議論を理解する土台になります。
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文責:株式会社M&Cパートナーコンサルティング
原稿作成日:2026年10月19日
本シリーズは、第271回介護給付費分科会の公開資料に基づく解説です。作成日時点の情報で、議事録は反映していません。検討中の対応案や団体の要望を含みます。実際の算定・運営上の対応に当たっては、最新の厚生労働省資料・告示・通知等を読者ご自身でもご確認ください。

