常勤医師1名体制の内科系クリニックでは、診療できる患者数や院長の診療時間に限界があります。だからこそ、増患だけを追うのではなく、いま実際に行っている診療が診療報酬上きちんと評価されているかを確認することが重要です。
本シリーズでは、令和8年度診療報酬改定後の制度を踏まえ、内科系クリニックで特に確認しておきたい算定項目を8回に分けて整理します。
初・再診料に付随する基本加算から、生活習慣病管理料、特定疾患療養管理料、地域包括診療加算・機能強化加算、感染症対応、CPAP・在宅酸素・自己注射などの在宅療養指導管理、紹介・連携・処方に関する評価まで、日常診療の中で漏れやすいポイントを具体的に解説します。さらに最終回では、患者条件、診療内容、施設基準、算定回数、併算定・包括関係、診療録記載という視点から、毎月のレセプトを仕組みとして点検する方法を紹介します。
「点数を取るために診療を変える」のではなく、「すでに行っている良い診療を、正しく記録し、正しく請求する」。院長の記憶や個人の経験に頼らず、クリニック全体で算定漏れを防ぐための実務シリーズです。
| タイトル | 概要 |
|---|---|
| 第1回 まずは「全患者」に関係する点数から――初・再診料と基本加算を総点検する | 初診料・再診料を起点に、外来管理加算、時間外対応体制加算、機能強化加算など、日常診療で繰り返し発生する基本的な算定項目を点検します。レセコン任せにせず、「算定できない」のか「確認していない」のかを切り分け、院内の情報伝達や入力ルールを見直します。 |
| 第2回 高血圧・糖尿病・脂質異常症をどう評価する?――生活習慣病管理料をもう一度見直す | 高血圧症、糖尿病、脂質異常症の定期患者を対象に、生活習慣病管理料の算定状況を総点検します。主病の考え方、療養計画、診療録への記載、他の医学管理料との関係を整理し、同じような患者でも算定に差が生じる理由を説明できる運用を目指します。 |
| 第3回 生活習慣病だけではない――特定疾患療養管理料と「主病」を点検する | 甲状腺疾患、心不全、不整脈など、内科で継続管理することの多い疾患を対象に、特定疾患療養管理料を確認します。「病名がある」だけでなく、「主病として継続管理しているか」が重要です。特定疾患処方管理加算や長期処方との関係も含めて整理します。 |
| 第4回 常勤医師1名でも「かかりつけ医機能」は評価される――地域包括診療加算と機能強化加算 | 「医師が1名だから無理」と決めつけず、地域包括診療加算や機能強化加算の対象患者・施設基準を確認します。慢性疾患管理、時間外対応、服薬管理、専門医や介護との連携、BCPなど、自院ですでに整っている体制と不足している要件を照合し、算定可能性を検討します。 |
| 第5回 発熱患者を診ているだけでは算定できない――感染症対応の加算を総点検する | 外来感染対策向上加算、発熱患者等対応加算など、感染症診療に関する評価を整理します。発熱患者を診療しただけでは算定できず、施設基準、院内動線、感染防止策、地域連携、診療録記載などが重要です。診療実態と算定件数のズレから漏れを探す方法も紹介します。 |
| 第6回 CPAP・在宅酸素・自己注射――「治療を管理している」ことへの評価を見逃さない | CPAP、在宅酸素、自己注射など、自宅で治療を継続する患者への指導管理を点検します。機器や薬を提供するだけでなく、使用状況や症状を継続的に確認することが評価の対象です。患者一覧、機器会社の管理表、処方データとレセプトを照合し、算定漏れを防ぎます。 |
| 第7回 紹介状を書いて終わりにしていないか――病診連携・薬局連携・処方の算定を確認する | 診療情報提供料、連携強化診療情報提供料、紹介患者受入に関する評価、処方関連の加算などを確認します。紹介状の発行件数と算定件数、病院から戻った患者への対応、薬局との情報連携を点検し、「紹介する」「受け入れる」「処方する」という日常業務を適切な算定につなげます。 |
| 第8回 算定漏れを「院長の記憶」に頼らない――毎月できるレセプト総点検の仕組み | 最終回では、算定漏れを個人の知識や記憶に頼らず、毎月確認できる仕組みにします。患者条件、実施した診療、施設基準、算定回数、併算定・包括関係、診療録記載の6つの視点から候補患者を抽出し、医師と事務が要件を確認する実務フローを整理します。 |
文責:株式会社M&Cパートナーコンサルティング
作成日:2026年8月15日
本コラムの内容は、作成日時点の法令・通知・事務連絡等をもとにしています。その後の改正や疑義解釈、追加通知等により、取扱いが変更されている場合がありますので、最新情報もあわせてご確認ください。
