対象:第270回介護給付費分科会の公開資料。議事録は反映していません。
こんにちは。村上佳子です。
送迎の人材を確保することが難しくなる中、複数の事業所が協力できないかと考える場面が増えています。
今回の共同送迎の論点は、介護事業所同士の協力を分かりやすくすることに加え、地域のほかの移動ニーズとの関係まで広がっています。
他事業所の利用者との同乗は、既に一定の整理がある
資料には、令和6年度改定で整理された通所系サービスの送迎の取扱いが掲載されています。
他事業所の職員が自事業所と雇用契約を結んで送迎する場合や、送迎業務を委託する場合などには、責任の所在を明確にしたうえで、他事業所の利用者との同乗が可能とされています。共同での委託も含まれます。
障害福祉サービス事業所との間でも、雇用契約や委託契約を結び、責任の所在を明確にした場合の同乗が整理されています。
つまり、共同送迎そのものが今回初めて提案されたわけではありません。これまでの仕組みを踏まえて、取扱いをさらに明確にしようとしています。
児童の通園・通学や、買い物支援との同乗も検討
今回の対応案では、他法人・他事業所と連携する共同送迎の扱いを明確にするとともに、同乗の範囲を広げることを検討しています。
具体的には、現在の他の介護サービスや障害福祉サービスの利用者に加え、児童の通園・通学、地域の買い物支援などとの同乗が挙げられています。
この提案は、通所リハビリテーションについても同様に検討するとされています。
ただし、「空いている席があれば、自由に誰でも乗せられる」という話ではありません。対応案には、雇用契約や業務委託契約などによる責任の明確化を図ることが前提として書かれています。
また、介護報酬上の取扱いの検討だけで、運送に関わるほかの制度の確認まで不要になるわけではありません。
効率性と、利用者の暮らしを支える機能
資料が挙げている目的は、送迎の効率性だけではありません。利用者の生活を支える機能の向上や、地域共生という観点も含まれています。
私の読み取りでは、事業所ごとに閉じていた移動の仕組みを、地域の資源として考え直そうとする提案です。
一方で、移動時間が長くなったり、利用者に合わない運行になったりすれば、本来の目的から離れてしまいます。実施の具体像は、安全性や利用者への影響も含めて考える必要があります。
事業所では、まず送迎の時間帯、経路、職員配置の状況を把握し、近隣事業所との協力の余地を考える程度から始めるとよいでしょう。新しい同乗範囲の運用は、今後の正式な整理を確認してからです。

文責:株式会社M&Cパートナーコンサルティング
原稿作成日:2026年10月19日
※本稿は検討段階の公開資料に基づきます。新たな同乗範囲が既に認められたものではありません。最新の公式資料・通知等を、ご自身でも確認してください。
