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身だしなみはクレーム予防の第一歩――患者さんに「隙」を与えない職場づくり(第5回/全6回)

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皆さん、こんにちは。M&Cパートナーコンサルティングのパートナーコンサルタント、長幸美です。

今回は、身だしなみとクレームの関係についてお話しします。

「身だしなみを整えたらクレームがなくなるのですか」と聞かれることがあります。

もちろん、身だしなみを整えるだけで、すべてのクレームやカスタマーハラスメントを防げるわけではありません。

医療機関では、待ち時間、説明不足、治療結果への不満、制度上の制約など、さまざまな理由で患者さんの不満が生じます。

ただし、身だしなみや振る舞いの乱れは、患者さんの不満を大きくする「きっかけ」になり得ます。

小さな違和感が不信感につながります

たとえば、患者さんが長時間待っているとします。

そのとき、受付職員がきちんとした姿勢で業務を行い、時折待合室へ気を配っていれば、

「忙しいけれど、きちんと対応してくれている」

と感じてもらえるかもしれません。

一方で、職員同士が笑いながら私語をしていたり、スマートフォンを見ていたり、だらしない姿勢で座っていたりすると、

「私たちを待たせているのに何をしているのか」

という怒りにつながります。

待ち時間そのものは同じでも、職員の姿勢によって患者さんの受け止め方が変わるのです。

クレームは、一つの出来事だけで発生するとは限りません。

制服の乱れ、無表情な対応、説明不足、私語、長い待ち時間など、小さな違和感が積み重なり、

「この医療機関は信用できない」

という感情に変わることがあります。

身だしなみの乱れは指摘しやすい

患者さんが医療内容の適否を判断することは簡単ではありません。しかし、身だしなみや接遇については、患者さんにも見えます。

そのため、医療機関に不満を感じた患者さんは、

「受付の態度が悪い」

「制服がだらしない」

「職員が私語をしていた」

など、目に見える部分から指摘することがあります。

特に、初めから強い要求をする人や、職員の対応上の弱点を探す人にとって、身だしなみの乱れは指摘しやすい材料になります。

反対に、職員が折り目正しい身だしなみで、落ち着いて丁寧に対応していると、感情的な言いがかりを受けにくくなることがあります。

きちんとした身だしなみは、

「この医療機関には一定の基準があり、組織として対応している」

というメッセージになるからです。

大切なのは「毅然として丁寧」な対応です

カスタマーハラスメント対策では、患者さんの要求を何でも受け入れることが正しいわけではありません。

理不尽な要求、暴言、威圧的な言動などに対しては、組織として線引きをし、職員を守る必要があります。

その際にも、職員の身だしなみや振る舞いが整っていることは重要です。

職員が感情的にならず、落ち着いた姿勢で、

「そのような言い方はお控えください」

「こちらでは、そのご要望には対応できません」

と伝えることで、医療機関の姿勢が明確になります。

髪を触りながら話す、腕を組む、相手をにらむ、投げやりな口調になると、正しいことを伝えていても、相手に反論の材料を与えてしまいます。

カスタマーハラスメントへの対応では、「弱々しく謝り続ける」のでも、「強い態度で言い返す」のでもなく、毅然として丁寧に対応することが基本です。

身だしなみと姿勢を整えることは、そのための土台になります。

クレームが起きたときほど日頃の印象が影響します

患者さんとの間に問題が生じたとき、日頃から信頼関係ができていると、

「何か事情があるのだろう」

「まず説明を聞いてみよう」

と思っていただけることがあります。

一方、以前から職員の態度や身だしなみに不満を感じていると、小さな問題でも、

「やはり、この医療機関はだめだ」

と受け止められやすくなります。

クレーム対策というと、発生後の謝罪方法や記録、警察への相談などに目が向きます。しかし、日頃の身だしなみや接遇によって、患者さんとの信頼関係を築いておくことも重要な予防策です。

職員を守るためにも基準が必要です

身だしなみの基準が曖昧な職場では、職員が患者さんから直接注意を受けたり、上司によって指導内容が異なったりします。

「私はよいと思ったのに、なぜ注意されるのですか」

という不満も起こりやすくなります。

職員を守るためにも、医療機関として身だしなみの基準を示しておくことが必要です。

ただし、細かな禁止事項を並べるだけでは、窮屈な規則になってしまいます。

「患者さんの安心」「医療安全」「感染対策」「業務への集中」という目的を最初に示し、その目的に沿って具体的なルールを設けましょう。

長さんのワンポイントアドバイス

身だしなみは、クレームを受けないために患者さんの機嫌を取るものではありません。

職員一人ひとりが医療人として整った姿勢を示し、組織として適切に対応するための土台です。

必要な配慮は丁寧に行い、受け入れられない要求には毅然と対応する。その両方を支えるのが、日頃の身だしなみと振る舞いです。

今日からできるチェック

□ 待っている患者さんから職員の姿がどう見えるか考えている
□ 私語やスマートフォンが不満のきっかけにならないよう注意している
□ クレーム対応時も姿勢と表情を整えている
□ 理不尽な要求には、毅然として丁寧に対応している
□ 身だしなみの基準を組織として共有している

次回は最終回です。身だしなみを個人任せにせず、医療機関全体の文化として定着させる方法についてお話しします。

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