あなたが現在見ているのは 身だしなみは服装だけではない――医療人としての品格は行動に表れる(第4回/全6回)

身だしなみは服装だけではない――医療人としての品格は行動に表れる(第4回/全6回)

→目次に戻る

皆さん、こんにちは。M&Cパートナーコンサルティングのパートナーコンサルタント、長幸美です。

身だしなみというと、制服、髪型、メイクなど、外見のことだけを考えがちです。

しかし、患者さんが見ているのは外見だけではありません。

職員同士の会話、受付での座り方、スマートフォンの扱い、物の置き方など、日常の行動すべてが医療機関の印象をつくっています。

今回は、医療人としての「振る舞い」について考えてみましょう。

受付での私語は患者さんにすべて聞こえています

職員同士で仕事の確認をすることは必要です。しかし、患者さんから見ると、業務上の会話と私語の区別がつかないことがあります。

職員が笑いながら話していると、

「こちらは具合が悪いのに、楽しそうに話している」

「自分のことを話されているのではないか」

と感じる患者さんもいます。

特に、患者さんの対応が終わった直後に職員同士が顔を見合わせて笑ったり、小声で話したりすると、たとえ患者さんとは無関係な内容でも、誤解を招く可能性があります。

受付や待合室は、職員にとっては毎日過ごす職場ですが、患者さんにとっては緊張や不安を感じる場所です。

患者さんの前では、業務に必要な会話を簡潔に行い、私的な会話は休憩室などの適切な場所で行うようにしましょう。

スマートフォンは見ているだけで誤解されます

業務用のスマートフォンやタブレットを使用する医療機関も増えています。

しかし、患者さんからは、それが業務用なのか私物なのか分からないことがあります。

受付で職員がスマートフォンを見ていると、

「仕事中に私用の連絡をしている」

「患者を待たせてスマートフォンを見ている」

と思われる可能性があります。

業務で使用する場合は、患者さんの目の前で長時間操作しない、必要に応じて「確認いたします」と一言添える、業務用であることが分かる管理方法にするなどの工夫が必要です。

私物のスマートフォンは、原則として職場の定められた場所に保管し、勤務中は必要以上に持ち歩かない方がよいでしょう。

個人の財布や現金、飲み物、化粧品なども、受付カウンターや患者さんから見える場所には置かないようにします。

カウンターの上は職員の意識を映します

受付カウンターの上に、書類、付箋、筆記具、個人の飲み物、充電器などが無造作に置かれていないでしょうか。

職員にとっては使いやすい配置でも、患者さんから見ると乱雑に感じられることがあります。

また、個人情報が記載された書類やメモが見える状態になっていれば、情報管理への不安にもつながります。

身だしなみを整えるということは、自分の外見だけでなく、自分が使う場所や道具を整えることでもあります。

業務中に必要な物だけを置き、使用後は元の場所へ戻す。個人情報を含む書類は伏せる、または患者さんから見えない場所へ置く。

こうした行動が、医療機関全体の信頼感を支えます。

患者さんの前での態度は職員同士でも同じです

患者さんには丁寧でも、職員同士には強い口調で指示を出している場面を見かけることがあります。

患者さんは、そのやり取りもよく見ています。

上司が部下を強い言葉で注意する、職員同士が不機嫌な表情で話す、ため息をつく。こうした職場の雰囲気は、患者さんに不安を与えます。

「職員同士の関係が悪そうだけれど、きちんと連携できているのだろうか」

と医療の質まで心配される可能性があります。

医療人としての品格は、患者さんへの態度だけでなく、同僚、後輩、取引先など、周囲の人への接し方にも表れます。

音にも気を配りましょう

足音、物を置く音、引き出しを閉める音、キーボードを強く打つ音なども、患者さんの印象に影響します。

忙しいときほど動作が大きくなり、音も強くなりがちです。

物を乱暴に置く音や大きなため息は、患者さんには「職員が怒っている」「職場が混乱している」と聞こえることがあります。

また、職員が廊下を走る姿は、緊急時を除けば、患者さんに落ち着かない印象を与えます。安全面からも、周囲を確認し、落ち着いて行動することが大切です。

品格とは、相手がいないときにも整っていること

医療人としての品格というと、少し難しく感じるかもしれません。

私は、品格とは「誰かに見られているときだけ丁寧にすること」ではなく、日頃から相手を尊重した行動ができることだと考えています。

患者さんの前だけ私語をやめるのではなく、職場として私語の場所を区別する。

注意されたときだけスマートフォンをしまうのではなく、使用ルールを守る。

上司がいるときだけ整理するのではなく、自分から周囲を整える。

その積み重ねが、医療機関の文化になります。

長さんのワンポイントアドバイス

一度、患者さんが座る待合室の椅子に座り、受付や診察室周辺を見てみてください。

職員の会話はどの程度聞こえるでしょうか。カウンターの上はどう見えるでしょうか。スマートフォンや私物は見えていないでしょうか。

職員側からではなく、患者さんの位置から職場を見ることで、これまで気づかなかった課題が見えてきます。

今日からできるチェック

□ 患者さんの前で不要な私語をしていない
□ 私物のスマートフォンや現金を持ち歩いていない
□ 受付カウンターに不要な物を置いていない
□ 職員同士でも相手を尊重した話し方をしている
□ 足音、物音、ため息などにも注意している

次回は、身だしなみが患者さんの不満やクレームとどのように関係するのかについてお話しします。

→目次に戻る