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専門領域の算定判断を整理する――感染症、透析、手術、DPC・地域包括ケア病棟の注意点(第5回/全6回)

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こんにちは。M&Cパートナーコンサルティング代表の村上佳子です。

今回は、疑義解釈その9の中から、病院実務に関係する専門領域の算定判断を整理します。

取り上げるのは、感染症、在宅医療充実体制加算、腎代替療法診療体制充実加算、外科医療確保特別加算、DPC、地域包括ケア病棟、物価対応料です。

項目だけ見るとバラバラに見えるかもしれません。

でも、共通しているのは、
「現場で判断を間違えると、算定漏れや返還につながりやすい」
という点です。

まず、感染症関係です。

特定感染症入院医療管理加算や特定感染症患者療養環境特別加算では、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症、いわゆるMRSA感染症などについて、症状や所見から感染症が疑われ、分離・同定による細菌の検出と薬剤耐性の確認を行い、感染症と診断した場合に対象となる、という整理があります。

ここで疑問になるのが、クロストリジオイデス・ディフィシル感染症です。

この感染症についても、薬剤耐性の確認まで必要なのか、という点です。

疑義解釈その9では、クロストリジオイデス・ディフィシル感染症については、医学的に薬剤耐性の確認を要しない場合に限り、薬剤耐性の確認以外の要件を満たせば、加算の対象として差し支えないとされています。

つまり、MRSA等の考え方をそのまますべて当てはめて、薬剤耐性確認が必ず必要だと考える必要はない、ということです。

ただし、当然ながら、症状、所見、検査結果、診断根拠はきちんと記録しておく必要があります。

感染症の加算は、単なる保菌者は対象とならないという考え方がありますので、感染症として診断した根拠を診療録で確認できるようにしておくことが大切です。

次に、在宅医療充実体制加算です。

この加算の施設基準では、在宅医療を担当する常勤換算医師数や常勤医師数に関する要件があります。

また、緩和ケア研修会等を修了している常勤医師が、在宅医療を担当していることも要件とされています。

ここで疑問になるのが、在宅医療を担当する常勤医師全員が、その研修を修了している必要があるのか、という点です。

疑義解釈その9では、在宅医療を担当する常勤医師のうち、少なくとも1名が当該研修会を修了していれば、施設基準を満たすとされています。

ただし、在宅医療を担当する常勤医師はすべて当該研修会を修了していることが望ましい、ともされています。

つまり、施設基準としては少なくとも1名で足ります。

しかし、医療の質や今後の体制整備を考えると、担当医全体で研修修了者を増やしていく方向が望ましい、ということです。

これは、事務長さんにとっても重要です。

施設基準を満たすための最低限の確認と、今後の体制強化のための人材育成は、分けて考える必要があります。

次に、腎代替療法診療体制充実加算です。

人工腎臓の注15に規定する腎代替療法診療体制充実加算では、腎移植について患者さんの求めに応じて適切に相談に応じていること、また腎移植に向けた手続きを行った患者が前年に2人以上いることが基準とされています。

ここでいう「腎移植に向けた手続きを行った患者」とは、日本臓器移植ネットワークに腎臓移植希望者として新規に登録された患者、先行的腎移植が実施された患者、または腎移植が実施され透析を離脱した患者を指します。

今回の疑義解釈では、すでに腎臓移植希望者として登録されている患者について、登録更新の手続きを行った場合、それも「腎移植に向けた手続きを行った患者」に含まれるのかが確認されました。

答えは、含まれません。

登録更新は、新規登録等とは異なり、この実績には含まれないという整理です。

ただし、令和10年5月31日までの間に限り、前年に2人以上という基準については該当するものとみなすという経過的な扱いも示されています。

透析医療を行う医療機関では、ここを実績管理の表に反映しておく必要があります。

登録更新を実績に含めて管理していた場合、将来的に基準確認でズレが出る可能性があります。

次に、外科医療確保特別加算です。

同一手術野または同一病巣に係る手術で、2種類以上の手術を同時に行った場合、外科医療確保特別加算の対象手術が従たる手術として、所定点数の50%を算定することがあります。

この場合、外科医療確保特別加算はどう計算するのでしょうか。

疑義解釈では、対象手術の所定点数の50%に相当する点数の15%に相当する点数を加算する、という整理が示されました。

つまり、元の所定点数の15%ではありません。

従たる手術として50%算定となった後の点数に対して、その15%を加算するということです。

手術点数は高額になることがありますので、計算の前提を間違えると影響が大きくなります。

医事課では、複数手術の算定ルールと加算計算の関係を確認しておきましょう。

次に、DPCと地域包括ケア病棟に関する物価対応料です。

DPC対象病院で、DPC算定対象となる病棟から地域包括ケア病棟へ転棟した場合、入院日Ⅱまでの期間は、引き続きDPCにより算定する取扱いがあります。

この場合、患者さんが地域包括ケア病棟に入院している間の物価対応料はどう算定するのか、という疑問があります。

疑義解釈では、地域包括ケア病棟への転棟後については、DPCにより算定する期間であっても、地域包括ケア病棟入院料1から4までの区分に応じて物価対応料を算定するとされています。

地域包括ケア入院医療管理料についても同様です。

ここは、DPCの算定期間と、実際に入院している病棟の区分を分けて考える必要があります。

「DPCで算定しているから、DPC側の扱いだけで見る」
ということではありません。

物価対応料については、転棟後の病棟区分に応じて確認する必要があります。

このように、今回の専門領域の疑義は、それぞれの診療科や部門だけで完結するものではありません。

感染症は診療録と検査部門、医事課の連携が必要です。

在宅医療充実体制加算は、在宅部門と人事・研修管理の連携が必要です。

腎代替療法診療体制充実加算は、透析部門と医事課で実績管理の定義をそろえる必要があります。

外科医療確保特別加算は、手術室、診療科、医事課で算定ルールの確認が必要です。

DPCと地域包括ケア病棟の物価対応料は、病棟異動情報と請求情報の連動が重要です。

今回のポイントをまとめます。

クロストリジオイデス・ディフィシル感染症では、医学的に薬剤耐性確認を要しない場合、薬剤耐性確認以外の要件を満たせば加算対象となります。

在宅医療充実体制加算では、在宅医療を担当する常勤医師のうち少なくとも1名が緩和ケア研修等を修了していれば施設基準を満たします。

腎代替療法診療体制充実加算では、腎移植登録の更新は「腎移植に向けた手続き」には含まれません。

外科医療確保特別加算では、対象手術が従たる手術として50%算定となる場合、50%相当点数の15%を加算します。

DPC対象病棟から地域包括ケア病棟へ転棟した場合、DPC算定期間中であっても、地域包括ケア病棟の区分に応じて物価対応料を算定します。

最終回では、健診同日受診、歯科、調剤、訪問看護など、医療機関が周辺領域との関係で見落としやすい論点を整理します。

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