こんにちは。M&Cパートナーコンサルティング代表の村上佳子です。
今回は、疑義解釈その9の中から、地域連携に関する内容を取り上げます。
令和8年度診療報酬改定では、医療機関単独で完結する体制だけでなく、地域の関係機関とどのように連携するかが、ますます重要になっています。
病院と診療所、医科と歯科、医療機関と介護施設、急性期と在宅、医療機関と薬局、医療機関と訪問看護ステーション。
こうした連携を、単なる「知り合いがいる」ではなく、実際に機能する体制として整えることが求められています。
今回の疑義解釈その9では、この連携体制について、いくつか実務上大事な考え方が示されています。
まず1つ目は、口腔管理連携加算です。
口腔管理連携加算では、医科の保険医療機関が、歯科診療を行う別の保険医療機関と連携体制を構築していることが施設基準とされています。
ここで疑問になるのが、自治体の口腔保健センター等が、地域の歯科医療機関のコーディネーターとなる体制です。
たとえば、医科の医療機関から相談があった場合に、口腔保健センター等が患者さんの病状や必要な対応に応じて、適切な歯科医療機関を紹介する。
そして、その歯科医療機関が実際に診療を行う。
このような体制は、連携体制として認められるのでしょうか。
疑義解釈では、一定の場合には認められるとされています。
具体的には、自治体の口腔保健センター等が、地域の歯科医療機関とあらかじめ連携体制を構築し、専門分野や診療体制を熟知していること。
さらに、医科の保険医療機関から紹介された患者さんについて、病状等に応じて迅速に適切な歯科診療が行えるよう調整を行う体制を有していること。
このような場合には、医科の医療機関が口腔保健センター等と連携することをもって、連携体制の構築に係る施設基準を満たすものとみなされます。
ただし、ここで注意が必要です。
届出様式や院内掲示等においては、実際に診療を担当する個別の歯科医療機関名を記載することとされています。
つまり、
「口腔保健センターと連携しています」
だけで終わるわけではありません。
実際に診療を担当する歯科医療機関がどこなのかを、届出や掲示で示す必要があります。
また、届出様式等に記載していない歯科医療機関による診療が行われた場合でも、その歯科医療機関が口腔保健センター等の連携歯科医療機関一覧に掲載されているなど、連携先であることが確認できる場合に限り、加算の算定が可能とされています。
この論点からわかるのは、連携体制には「確認できること」が必要だということです。
口頭でつながっている、何となく紹介できる、という状態では弱いです。
連携先一覧、紹介ルール、掲示、届出様式、実際の診療担当機関の確認など、記録に残せる形で整えておく必要があります。
2つ目は、協力対象施設入所者入院加算と介護保険施設等連携往診加算です。
これらの加算では、介護保険施設等の入所者の病状が急変した場合などに、対応方針等を共有するため、一定の頻度でカンファレンスを実施することが求められています。
ICTを活用していない場合は、原則として年3回以上という扱いもあります。
ここで疑問になるのが、新たに協力医療機関となる場合です。
まだカンファレンスを実施していない段階でも、届出はできるのでしょうか。
疑義解釈では、新たに協力医療機関となり、当該加算の届出を行う場合には、介護保険施設等とのカンファレンスの日程が具体的に決まっており、届出時にその予定を記載することで、要件を満たすものとみなすとされています。
これは実務上、とても大事です。
つまり、最初の届出時点で、すでにカンファレンスの実績が完了していなくても、具体的な日程が決まっていればよい、という整理です。
ただし、これも
「予定だけ書けばよい」
という話ではありません。
届出後には、当然、その予定どおりカンファレンスを実施していく必要があります。
翌年以降も継続して算定する場合には、毎年度、必要な頻度でカンファレンスを実施することになります。
ですので、医療機関としては、介護施設とのカンファレンスについて、年間予定表を作っておくことをおすすめします。
いつ、どの施設と、どの方法で、誰が参加して、何を確認するのか。
急変時の対応方針、入院受入れの流れ、連絡先、夜間・休日の対応、看取りやACPに関する情報共有など、カンファレンスの中身も重要です。
3つ目は、心不全再入院予防継続管理料です。
心不全再入院予防継続管理料1及び2の施設基準では、地域の医療機関等を対象に、心不全診療に関する最新治療と多職種連携の意義についての研修会を年1回以上実施することが求められています。
ここで、地域に同じ届出を行っている医療機関が複数ある場合、研修会を合同で開催してよいのか、という疑問があります。
疑義解釈では、合同開催は可能とされています。
ただし、合同開催する医療機関は、心不全治療の地域連携体制について、あらかじめ協議し、連携している必要があります。
これも大切なポイントです。
単に会場を一緒にしただけ、案内を一緒に出しただけではなく、心不全治療の地域連携体制について、医療機関同士が事前に協議し、連携していることが求められています。
また、心不全再入院予防継続管理料1については、検査の実施を主な目的とする入院の場合には算定できないことも示されています。
ここは、入院目的の確認が重要になります。
今回の連携関係の疑義から、医療機関が学ぶべきことは、連携を「実態」と「記録」の両方で整える必要があるということです。
連携先がある。
紹介できる。
会議をする予定がある。
研修会を一緒に行う。
これらは大切ですが、それだけでは不十分です。
届出書類、院内掲示、連携先一覧、カンファレンス予定表、議事録、研修会案内、参加者名簿、協議記録など、あとから確認できる形にしておくことが必要です。
令和8年度改定では、地域連携が評価される一方で、その連携が本当に機能しているかも見られていきます。
事務長さんや医事課長さんは、加算ごとに、
「連携先はどこか」
「届出上の名称と実態は一致しているか」
「予定は具体的に決まっているか」
「実施後の記録は残っているか」
を確認してください。
今回のポイントをまとめます。
口腔管理連携加算では、口腔保健センター等がコーディネーターとなる体制も、一定の場合には連携体制として認められます。
ただし、届出様式や院内掲示には、実際に診療を担当する歯科医療機関名の記載が必要です。
協力対象施設入所者入院加算や介護保険施設等連携往診加算では、新たに協力医療機関となる場合、カンファレンスの日程が具体的に決まっていれば、届出時点で要件を満たすものとみなされます。
心不全再入院予防継続管理料では、研修会の合同開催は可能ですが、事前に地域連携体制について協議し、連携している必要があります。
次回は、感染症、透析、手術、DPC、地域包括ケア病棟など、専門領域の算定判断を整理していきます。

