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在宅医療の初回訪問で迷わない――訪問診療薬剤師同時指導料と在医総管の関係(第3回/全6回)

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こんにちは。M&Cパートナーコンサルティング代表の村上佳子です。

今回は、疑義解釈その9の中から、在宅医療に関する重要な論点を取り上げます。

テーマは、医師と薬剤師が同時に訪問する場合の算定です。

具体的には、医科側の「訪問診療薬剤師同時指導料」と、調剤側の「訪問薬剤管理医師同時指導料」です。

在宅医療では、患者さんが自宅や施設で療養する中で、薬の管理が非常に重要になります。

特に、高齢の患者さん、複数の医療機関にかかっている患者さん、薬の種類が多い患者さん、服薬状況に不安がある患者さんでは、医師と薬剤師が一緒に患者さんの生活の場を見て、薬の使い方や管理方法を確認することに大きな意味があります。

令和8年度改定では、こうした医師と薬剤師の同時訪問による共同指導を評価する仕組みが設けられています。

ただし、ここで現場が迷いやすいのが、
「初回訪問時に算定できるのか」
という点です。

たとえば、これから在宅医療を開始する患者さんがいるとします。

医療機関は在宅時医学総合管理料、いわゆる在医総管の施設基準を満たしています。

今後、その患者さんについて在医総管を算定する見込みです。

そこで、初回の訪問診療時から薬剤師にも同行してもらい、薬の整理や服薬管理について一緒に確認しました。

この場合、訪問診療薬剤師同時指導料は算定できるのでしょうか。

疑義解釈その9では、この点について、初回の訪問診療時、つまり在医総管の算定開始前には算定できない、と示されています。

ただし、ここが大切です。

初回訪問時に、医師と薬剤師が共同で指導を行うこと自体は可能です。

つまり、
「一緒に行ってはいけない」
という話ではありません。

一緒に訪問して、患者さんの薬の状況を確認し、必要な指導を行うことはできます。

ただし、算定のタイミングは別です。

訪問診療薬剤師同時指導料は、患者さんに対して総合的な在宅療養計画を作成し、定期的に訪問して診療を行い、総合的な医学管理を行って、在医総管の算定を開始した際に併せて算定する、という整理です。

ここを、
「行為としてできるか」
「点数として算定できるか」
に分けて考える必要があります。

医療機関の現場では、この2つが混ざりやすいです。

特に在宅部門では、患者さんの状態を考えると、初回から薬剤師と一緒に見に行くことが望ましい場面があります。

その判断自体は大切です。

ただし、請求の段階では、在医総管の算定開始前なのか、開始後なのかを確認しなければなりません。

調剤側の訪問薬剤管理医師同時指導料も、同じ考え方です。

薬局の薬剤師が、医師の初回訪問診療時に同時訪問し、共同指導を行うことは可能です。

しかし、その共同指導に係る訪問薬剤管理医師同時指導料の算定は、医師によりその患者さんについて在医総管が算定されたことを、医療機関に確認した後に行うこととされています。

つまり、薬局側も、
「医師と一緒に行ったから算定できる」
ではありません。

医療機関側で在医総管が算定されたことを確認する必要があります。

これは、医療機関と薬局の間で、情報共有のルールを決めておかないと混乱します。

たとえば、次のような流れを院内で決めておくとよいと思います。

まず、在宅医療開始前に、患者さんの薬剤管理上の課題を確認します。

次に、薬剤師の同時訪問が必要かどうかを医師が判断します。

初回訪問時に薬剤師が同行する場合は、共同で確認した内容を診療録や薬剤管理の記録に残します。

その後、在宅療養計画を作成し、定期的な訪問診療を開始します。

在医総管を算定するタイミングで、訪問診療薬剤師同時指導料の算定可否を医事課が確認します。

薬局側には、在医総管の算定開始が確認できた段階で、必要な情報を共有します。

このように、在宅医療部門、医事課、薬局の間で、算定タイミングをそろえることが大切です。

特に注意したいのは、初回訪問の記録です。

初回訪問時に薬剤師と共同で指導した場合、その内容が記録に残っていなければ、あとから何を行ったのか確認できません。

一方で、記録があっても、在医総管の算定開始前であれば、その時点では算定できません。

ですので、記録と請求の両方を分けて管理する必要があります。

在宅医療は、今後ますます多職種連携が求められます。

医師だけで患者さんの生活を支えるのではなく、薬剤師、訪問看護師、ケアマネジャー、介護サービス事業者など、多くの関係者が関わります。

今回の疑義解釈は、そうした連携を否定するものではありません。

むしろ、初回から必要な連携を行うことは可能だとしつつ、診療報酬上の算定タイミングを明確にしたものと理解すべきです。

現場では、
「患者さんのために必要だから行うこと」

「診療報酬として算定できること」
をきちんと分けて整理することが重要です。

今回のポイントをまとめます。

初回訪問時に、医師と薬剤師が共同で指導を行うことは可能です。

しかし、在医総管の算定開始前には、訪問診療薬剤師同時指導料は算定できません。

算定は、総合的な在宅療養計画を作成し、定期的な訪問診療を開始し、在医総管の算定を開始した際に併せて行う整理です。

薬局側の訪問薬剤管理医師同時指導料も、医療機関で在医総管が算定されたことを確認した後に算定します。

医療機関としては、在宅部門、医事課、連携薬局の間で、初回訪問、記録、在医総管算定、薬局への確認の流れを決めておきましょう。

次回は、連携体制に関する論点を取り上げます。 口腔管理連携加算、協力対象施設入所者入院加算、介護保険施設等連携往診加算、心不全再入院予防継続管理料など、地域連携をどう整えるかを見ていきます。

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