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様式98は「出さなくてよい」ではない――入院基本料等の減算免除で病院が注意すべきこと(第2回/全6回)

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こんにちは。M&Cパートナーコンサルティング代表の村上佳子です。

今回は、疑義解釈その9の中でも、病院や有床診療所にとって特に重要な、入院基本料等の減算免除と様式98についてお話しします。

今回のポイントは、はっきり言うとここです。

様式98について、一定の場合に6月・7月診療分は救済されます。

ただし、
「様式98を出さなくてよい」
という意味ではありません。

ここを誤解すると、8月診療分から入院基本料等が減算される可能性があります。

まず、背景から整理します。

令和8年度診療報酬改定では、入院基本料等について、一定の賃上げ対応を行っていない場合に減算される仕組みが設けられています。

この減算の免除を受けるためには、様式98を用いて施設基準の届出を行う必要があります。

ところが、令和8年度改定は6月1日施行です。

医療機関側からすると、4月・5月にさまざまな届出準備を進める中で、ベースアップ評価料、入院基本料、特掲診療料、経過措置など、確認すべきものが非常に多くありました。

そのため、6月1日までに様式98の届出が間に合わなかった医療機関も出てきます。

そこで、疑義解釈その9では、届出が間に合わなかった場合の取扱いが示されました。

まず、令和8年3月31日時点で入院ベースアップ評価料を届け出ている保険医療機関、または令和8年3月31日時点で外来・在宅ベースアップ評価料Ⅱを届け出ている有床診療所については、6月診療分と7月診療分に限り、様式98による施設基準の届出があったものとみなされます。

つまり、この場合、6月・7月診療分については、入院基本料等の減算対象とはなりません。

ここだけ読むと、
「あ、うちは3月31日時点で入院ベースアップ評価料を届け出ていたから、もう大丈夫ですね」
と思ってしまうかもしれません。

でも、そこが注意点です。

疑義解釈では、さらに続けて、令和8年8月3日までに様式98による施設基準の届出を行わない場合、令和8年8月診療分から入院基本料等の減算対象となる、とされています。

つまり、6月・7月は救済されます。

しかし、8月以降も継続して減算免除を受けるためには、様式98の届出が必要です。

ここは、院内で必ず確認してください。

特に注意したいのは、厚生局等に問い合わせた際に、
「減算免除の処理はされています」
という回答を受けた場合です。

この回答は、6月・7月診療分について、一定の条件を満たす医療機関は届出があったものとみなされている、という意味である可能性があります。

それを、
「様式98は提出不要です」
と受け取ってしまうのは危険です。

事務長さん、医事課長さんには、ここをぜひ慎重に見ていただきたいです。

院内で確認すべきことは、次の3つです。

1つ目は、自院が令和8年3月31日時点で、入院ベースアップ評価料を届け出ていたかどうかです。

ここでいう「3月31日時点で届け出ている」とは、単に提出していたという意味ではなく、令和8年3月2日までに施設基準の届出が受理され、3月31日時点で当該評価料を算定していることを意味します。

2つ目は、様式98をすでに提出しているかどうかです。

院内で「出したはず」「誰かが確認しているはず」となっていることがあります。

しかし、こういう届出は、曖昧なままにしてはいけません。

提出日、提出先、控え、受理状況を確認してください。

3つ目は、未提出の場合、令和8年8月3日までに提出できる体制になっているかどうかです。

8月3日は月曜日です。

直前になって慌てるのではなく、7月中に様式を整え、院内決裁や確認を終えておくことをおすすめします。

また、今回の疑義解釈では、3月31日時点で入院ベースアップ評価料等を届け出ていない医療機関についても、別の扱いが示されています。

一定水準以上のベースアップ等を行った保険医療機関、または令和8年6月1日以降に新規開設した保険医療機関の場合、6月・7月診療分に係る届出を7月3日までに行った場合には、6月以降の診療分について減算対象外となります。

つまり、自院がどの区分に該当するかによって、確認すべき期限が変わります。

ここを取り違えないようにしてください。

この論点で大事なのは、厚生局の処理状況だけに頼らないことです。

もちろん、厚生局への確認は大切です。

ただし、診療報酬の施設基準は、最終的には医療機関側が、自院の届出状況を把握し、必要な届出を行う責任があります。

「電話でそう言われたから大丈夫だと思った」
では、後から説明が難しくなることがあります。

今回の様式98については、院内で次のような管理表を作るとよいと思います。

対象となる入院料等は何か。
3月31日時点で算定していたベースアップ評価料は何か。
様式98を提出済みか。
提出日・控えはあるか。
未提出の場合の担当者と期限はいつか。
8月診療分から減算対象にならないことを誰が確認するか。

このように、確認項目を見える化しておくことが大切です。

今回のポイントをまとめます。

6月・7月診療分については、一定の医療機関では様式98の届出があったものとみなされ、入院基本料等の減算対象とはなりません。

しかし、これはあくまで経過的な救済です。

8月3日までに様式98を提出しなければ、8月診療分から減算対象となります。

ですので、医療機関としては、
「うちは減算免除になっているらしい」
で終わらせず、
「様式98を提出済みか」
「未提出ならいつまでに出すか」
を必ず確認してください。

次回は、在宅医療における医師と薬剤師の同時訪問について取り上げます。

初回訪問時に共同指導はできるのか。
できるとして、算定はいつなのか。

ここも現場で誤解しやすいポイントです。

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