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クロザピン実績は「病棟単位」から「病院全体」へ――実績評価の見直しをどう読むか(第2回/全6回)

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こんにちは。M&Cパートナーコンサルティング代表の村上佳子です。

今回は、精神科急性期医師配置加算の見直しの中でも、もっとも重要なポイントである「クロザピン実績の見方」についてお話しします。

令和8年度診療報酬改定では、精神科急性期医師配置加算1と3について、クロザピンの新規導入件数を、これまでのように「当該加算を算定する病棟」で見るのではなく、「医療機関全体」で見る方向に見直されました。

これは非常に大きな変更です。

なぜなら、精神科病院におけるクロザピン治療は、そもそも特定の病棟だけで完結しにくいからです。

クロザピンは、治療抵抗性統合失調症の患者さんに使用される薬剤です。

ただし、導入には慎重な判断が必要です。

血液検査の管理、副作用への対応、患者さんやご家族への説明、薬剤部との連携、外来での継続管理など、多くの部門が関わります。

つまり、クロザピン治療は「医師が処方する薬」というだけではなく、病院全体の管理体制そのものが問われる治療です。

これまでのように、加算を算定する病棟だけで新規導入件数を見ようとすると、現場では無理が出ることがあります。

たとえば、慢性期病棟に長く入院している患者さんの中に、クロザピン導入を検討すべき方がいるかもしれません。

外来で通院している患者さんが、導入のために入院するケースもあります。

他病棟で治療方針を検討したうえで、急性期病棟と連携することもあります。

こうした実態を踏まえると、クロザピンの導入実績を病棟単位だけで評価するのではなく、医療機関全体で評価するほうが、現場の動きに合っています。

今回の改定は、まさにその方向に修正されたものだといえます。

では、事務長さんは何を確認すべきでしょうか。

まず、自院の過去のクロザピン新規導入件数を確認してください。

加算1では、過去5年間で15件、または過去1年間で3件以上という考え方が出ています。

さらに、入院または外来でクロザピンを使用している患者数が年間6人以上であることも求められます。

加算3では、過去5年間で10件、または過去1年間で2件以上、かつ入院または外来でクロザピンを使用している実患者数が年間4人以上という形です。

ここで注意したいのは、「新規導入件数」と「使用患者数」は別の管理項目だということです。

新しく導入した患者さんの数だけではなく、現在、入院または外来でクロザピンを使用している患者さんの人数も確認する必要があります。

医事課だけで判断するのは危険です。

薬剤部の払い出しデータ、医師の処方実績、検査記録、外来継続患者の一覧、病棟での導入記録を突き合わせる必要があります。

また、過去5年間の実績を使う場合には、年度ごと、患者ごと、導入日ごとに整理しておくことが大切です。

「たぶん何件くらいあると思います」では、施設基準の管理としては不十分です。

届出や適時調査を意識するなら、後から説明できる一覧表を作っておくべきです。

私は、今回の改定をきっかけに、精神科病院では「クロザピン管理台帳」を整備することをおすすめします。

項目としては、患者ID、導入日、導入病棟、導入時の主治医、現在の管理区分、入院・外来の別、検査管理の状況、治療継続の有無などです。

これは、単なる加算対策ではありません。

治療抵抗性統合失調症の患者さんに対して、自院がどのような専門的医療を提供しているのかを見える化する作業です。

今回の改定は、精神科病院に対して、「病棟ごとの算定」から「病院全体の機能」へ視点を広げるよう促していると私は思います。

次回は、クロザピン治療を病院全体で進めるために、どのような院内体制が必要なのかを見ていきます。

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