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クロザピンを始められる病院・始められない病院――医師配置だけでは足りない体制整備(第3回/全6回)

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こんにちは。M&Cパートナーコンサルティング代表の村上佳子です。

今回は、クロザピン治療を病院全体で進めるための体制整備についてお話しします。

精神科急性期医師配置加算という名前を見ると、どうしても「医師が何人配置されているか」という話に目が向きます。

もちろん、医師配置は大切です。

ただ、クロザピン治療に関しては、医師配置だけでは足りません。

ここを誤解してはいけません。

クロザピンは、治療抵抗性統合失調症に対する重要な治療選択肢です。

一方で、導入と継続には、慎重な管理が求められます。

患者さんへの説明、家族への説明、血液検査のスケジュール管理、副作用への対応、服薬状況の確認、外来移行後のフォロー。

これらがきちんと回らないと、安全に継続することが難しくなります。

つまり、クロザピン治療は、医局だけの仕事ではありません。

看護部、薬剤部、検査部、医事課、外来、病棟、地域連携室が関わる「院内プロジェクト」として考える必要があります。

では、事務長さんはどこから確認すればよいのでしょうか。

まず、候補患者を把握する仕組みがあるかです。

治療抵抗性統合失調症の患者さんは、急性期病棟だけにいるわけではありません。

精神療養病棟や長期入院の病棟、外来にもいらっしゃいます。

主治医の判断だけに任せるのではなく、定期的に候補患者を検討するカンファレンスを設けることが重要です。

次に、導入時の流れが決まっているかです。

どの病棟で導入するのか。

導入前に誰が説明するのか。

同意書や説明文書は整っているか。

検査の予約や結果確認は誰が行うのか。

薬剤部はどのタイミングで関与するのか。

副作用が疑われる場合の連絡ルートはどうするのか。

これらを曖昧にしたままでは、件数を増やすどころか、現場が不安になります。

さらに、退院後の外来継続も重要です。

令和8年度改定では、入院または外来においてクロザピンを使用する患者数も要件に関係します。

つまり、「入院中に導入して終わり」ではありません。

外来で安全に継続できる体制があるかどうかが、病院全体の実績管理に直結します。

ここで医事課の役割も大きくなります。

医事課は、算定要件だけを確認する部署ではありません。

実績がどこに記録されているか。

届出に必要な資料を後から取り出せるか。

入院と外来の患者数をどう集計するか。

過去5年間の導入実績をどう保存するか。

こうした実務を支える役割があります。

私は、精神科病院では、クロザピンに関して少なくとも年に数回、院内で実績確認の場を持つべきだと思います。

医局、看護部、薬剤部、検査部、医事課、地域連携室が集まり、候補患者、導入患者、継続患者、課題を共有する。

これを行うだけで、実績管理の精度は大きく変わります。

クロザピン治療は、患者さんにとっても、病院にとっても、簡単な治療ではありません。

だからこそ、制度上の評価も、単なる処方件数ではなく、病院全体の体制を見ようとしているのだと思います。

精神科急性期医師配置加算の見直しを、単なる届出要件の変更として終わらせるのではなく、自院の専門治療体制を見直す機会にしてください。

次回は、15対1病棟にも関係する可能性がある、精神科急性期医師配置加算2のイの見直しについてお話しします。

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