あなたが現在見ているのは 要介護1・2でも、支援は少ないとは限らない――小多機の利用実態と基本報酬(第4回/全12回)

要介護1・2でも、支援は少ないとは限らない――小多機の利用実態と基本報酬(第4回/全12回)

→目次に戻る

こんにちは。M&Cパートナーコンサルティング代表の村上佳子です。

今回は、小規模多機能型居宅介護の利用者像と、基本サービス費の見直しに関する論点です。

資料2で注目したいのは、要介護1・2の方にも、高い頻度で継続的なサービスが提供されている実態です。要介護度だけでは、地域生活を支えるために必要な支援の量や内容を捉えきれない場合がある。そのことを踏まえた議論になっています。

小多機が支えている利用者像を確認します

小多機は、「通い」を中心に、状態や希望に応じて「訪問」「泊まり」を組み合わせるサービスです。中重度になっても、住み慣れた自宅や地域で生活を続けられるよう支えることが、創設時の理念とされています。

今回の資料は、その役割を踏まえたうえで、実際には軽度者から中重度者まで、多様なニーズに対応していることを示しています。

取り上げられているのは、身体介護だけではありません。服薬管理、認知症の見守りや行動・心理症状への対応、孤立予防などもあります。独居の方や高齢者だけの世帯など、生活環境によって必要になる支援も含まれます。

例えば、自分で動ける方でも、薬を飲んだかどうかの確認や、食事・生活状況を継続的に確かめる支援が必要なことがあります。これは資料の論点を理解するための一例ですが、身体介護の重さと、日々の支援の必要性は必ずしも一致しないのですね。

軽い段階から継続して支える機能が論点です

資料では、「通い」と「訪問」の利用回数のうち、要介護1・2の利用者が占める割合が高いことを示しています。比較的要介護度が低くても、高頻度で継続したサービス提供が行われているという説明です。

一方、基本サービス費は要介護度別に設定されており、要介護1・2と要介護3以上には単位数の差があります。

そこで論点として示されたのが、中重度者への対応に加え、軽度者の状態維持や重度化防止に資する機能をどう評価するか、という問いです。

軽い段階から顔なじみの職員との関係を築き、状態の変化に応じて通いや訪問などを調整しながら支援を続ける。その積み重ねが、中重度になった後の在宅生活にもつながるという考え方です。

ただし、掲載された利用実態だけで、小多機の利用による重度化防止の効果がすべて証明された、と読むことはできません。資料が示す実態と、今後評価しようとしている機能は、分けて理解しましょう。

対応案は、要介護度別の報酬のバランスを検討することです

今回の対応案では、軽度の段階から状態の維持・改善と地域生活を支える機能を適切に評価するため、要介護1・2と要介護3以上の単位数のバランスなど、基本サービス費の在り方を検討してはどうかとしています。

具体的に何単位になるのか、どの要介護度をどの程度見直すのかは示されていません。軽度者の報酬が上がる、あるいは中重度者の報酬が下がると、現時点で決めつけることはできません。

資料の中心は、現在の利用実態と支援機能に照らして、報酬の配分をどう考えるかです。

小多機の価値を、日々の支援の中から読み取ります

私は、この論点は小多機が日常的に担っている支援を、より丁寧に捉えようとするものだと考えています。介護度が低い時期から関わり、変化に気づき、必要な支援を続ける機能に目が向けられています。

事業所では、要介護度ごとの利用回数に加え、見守りや服薬確認など、何のために支援しているかも整理してみてください。今後の報酬の議論を、実際のケアと結びつけて理解する材料になります。

第4回 要介護1・2でも、支援は少ないとは限らない――小多機の利用実態と基本報酬の漫画

文責:株式会社M&Cパートナーコンサルティング

原稿作成日:2026年10月19日

本稿は第269回の公開資料に基づく解説で、議事録は反映していません。検討段階の内容を含むため、最新の公式資料・通知等はご自身でも確認してください。

出典:厚生労働省・資料2、9〜14ページを基に解説を作成。