みなさん、こんにちは。
M&Cパートナーコンサルティング代表の村上佳子です。
第5回は、生成AIに加えて、音声入力、RPA、患者向け説明動画をどのように活用するかを考えていきます。
1.3人換算を考える場合、この3つのうち少なくとも1種類以上を広く活用していることがポイントになります。
ただし、ここでも大切なのは、単に導入することではありません。
「広く活用している」と説明できる状態を作ることです。
疑義解釈では、生成AIを活用した文書作成補助システムおよび医療文書用の音声入力システムについては、医師または医師事務作業補助者の過半数が、少なくとも毎週使用していることと示されています。
つまり、月に1回だけ使う、特定の先生だけが使う、試験的に触っているだけ、という状態では弱いということです。
音声入力は、医師にとっても医師事務作業補助者にとっても、比較的イメージしやすいICTです。
診療録の入力、退院時要約の作成、診断書や紹介状の下書きなどで、話した内容をテキスト化できれば、入力時間を短縮できます。
ただし、医療文書用の音声入力システムであることが重要です。汎用的なスマートフォンの音声入力とは区別して考える必要があります。医療用語への対応、電子カルテや文書作成システムとの連携、誤変換の確認方法なども確認ポイントです。
次にRPAです。
RPAは、決まった手順で行う入力作業を自動化する仕組みです。
疑義解釈では、RPAについて、診療サマリーやデータベースへの入力等、医師事務作業補助者が行うことのできる業務のうち5業務以上に活用され、毎年追加されていることが示されています。
ここは実務上、かなり重要です。
RPAは、1つ作って終わりではありません。
5業務以上に活用されていること。
しかも毎年追加されていること。
つまり、継続的な業務改善の仕組みとして使われていることが求められます。
RPAに向いているのは、定型的な入力、転記、集計、登録作業です。
たとえば、行政システムへの入力、院内データベースへの登録、診療サマリー関連の定型入力、統計資料の作成補助、カンファレンス用データの整理などが考えられます。
ただし、RPAを導入する前に、対象業務が医師事務作業補助者の業務範囲に入っているかを確認してください。
経営管理資料の作成やレセプト請求事務、DPCコーディングなど、対象外になり得る業務をRPA化しても、医師事務作業補助体制加算のICT活用としては説明しにくくなります。
最後に、患者向け説明動画です。
疑義解釈では、10種類以上の患者向け説明動画について、1日当たりの使用回数が、外来を含めて一般病床数の概ね15%、療養病床・精神病床では5%以上であることが目安とされています。
また、動画は、入退院時の説明、検査・処置、麻酔・鎮静、手術、インフォームド・コンセント、医療安全・感染対策等のうち、少なくとも3つの領域で合計10種類以上用意されていることとされています。
患者向け説明動画は、医師の説明をなくすものではありません。
大切な説明は、当然、医師や看護師などが行います。
ただ、毎回同じ内容を口頭で説明している部分、標準化した方がよい部分、患者さんやご家族に事前に理解してもらいたい部分は、動画と相性が良いです。
たとえば、入院時の流れ、検査前の注意事項、手術前説明の前提知識、麻酔や鎮静に関する基本説明、感染対策、転倒転落予防、退院後の生活上の注意などです。
動画を使うことで、説明の質を標準化できます。
患者さんやご家族も、紙だけより理解しやすくなります。
医師や看護師は、動画で共通理解を作ったうえで、個別の病状や治療方針に集中して説明できます。
では、中小病院では、どの組み合わせが現実的でしょうか。
私なら、まず次の3パターンで考えます。
1つ目は、生成AI+音声入力です。
文書作成が多い病院、医師の記録負担が大きい病院に向いています。
2つ目は、生成AI+患者向け説明動画です。
入退院説明、検査説明、手術説明など、患者説明に時間がかかっている病院に向いています。
3つ目は、生成AI+RPAです。
定型入力やデータ登録が多く、医師事務作業補助者が事務処理に追われている病院に向いています。
どれが正解ということではありません。
自院の医師が何に困っているか。
医師事務作業補助者が何に時間を取られているか。
患者説明でどこに負担があるか。
定型入力がどれだけあるか。
ここから選ぶことが大切です。
第6回では、届出後に重要になる効果測定と院内運用についてお話しします。
ICT活用は、入れて終わりではありません。
使い続け、効果を確認し、改善していくことが大切です。

