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要請に応じないと何が起こるのか――3年指定と算定できなくなる加算(第4回/全5回)

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こんにちは。M&C Partners Consulting代表の村上佳子です。

今回は、外来医師過多区域での新規開業について、先生方が最も気になるであろう「要請に応じない場合の影響」を整理します。

まず、ここでも誤解しないでいただきたいことがあります。

要請に応じなかったからといって、ただちに保険診療ができなくなる、という話ではありません。

制度上は、段階があります。

外来医師過多区域で新規開業する無床診療所について、都道府県は、開業前に提供予定の医療機能等の届出を求めます。
その内容を踏まえて、地域の外来医療の協議の場への参加を求めたり、地域で不足している医療機能への協力を要請したりすることがあります。

そして、要請に応じない場合には、理由の説明を求められたり、勧告・公表につながったりする可能性があります。

さらに、健康保険法上、要請に応じなかった場合や勧告を受けた場合などには、保険医療機関の指定に3年以内の期限を付することができる仕組みが示されています。

ここで出てくるのが、いわゆる「3年指定」です。

通常、保険医療機関の指定は6年ごとの更新が基本です。

しかし、地域で不足する医療機能への要請に応じず、地域医療への寄与が不十分と位置づけられた場合、指定期間が3年以内に短縮される可能性があります。

そして、令和8年度診療報酬改定では、この3年以内の指定を受けた診療所について、いくつかの重要な診療報酬項目に影響が出ることになりました。

具体的には、地域で不足している医療機能等にかかる医療提供の要請に応じず、保険医療機関の指定が3年以内とされた医療機関について、機能強化加算、地域包括診療加算、地域包括診療料、小児かかりつけ診療料の算定、そして在宅療養支援診療所の届出が不可とされています。

これは、かなり大きなメッセージです。

なぜなら、これらの項目はいずれも、かかりつけ医機能や地域医療への貢献に関係する評価だからです。

機能強化加算は、かかりつけ医機能を有する医療機関としての外来機能を評価するものです。

地域包括診療加算や地域包括診療料は、慢性疾患を持つ患者さんを継続的・包括的に診る体制に関係します。

小児かかりつけ診療料は、小児科領域で継続的に子どもを支える機能を評価するものです。

在宅療養支援診療所は、在宅医療の体制を担う診療所として重要な位置づけを持ちます。

つまり、国としては、
「地域で不足する医療機能への協力を求められているにもかかわらず、それに応じない診療所については、地域医療やかかりつけ医機能への貢献を評価する項目を算定対象にしない」
という考え方を示しているわけです。

これは、単なる点数の話ではありません。

クリニックの経営戦略にも関わります。

たとえば、内科クリニックであれば、将来的に機能強化加算や地域包括診療加算を算定したいと考えることがあります。

小児科クリニックであれば、小児かかりつけ診療料を経営の柱に考えることもあります。

在宅医療を展開する予定であれば、在宅療養支援診療所の届出は重要な意味を持ちます。

ところが、外来医師過多区域での新規開業において、地域からの要請への対応を軽く見てしまうと、こうした将来の算定戦略に影響する可能性があります。

ですから、開業前の段階で、
「自院はどの加算を将来的に目指すのか」
「地域医療への関与をどこまで行うのか」
「要請があった場合、どのように説明し、どのように対応するのか」
を考えておく必要があります。

もちろん、要請があれば何でも受けなければならない、ということではありません。

医師一人で運営するクリニックには限界があります。
家庭の事情もあります。
診療科によって対応できる範囲も違います。
スタッフ体制が整っていない段階で、無理な約束をすることは危険です。

だからこそ、重要なのは、できない理由を整理することではなく、できる形を提案することです。

たとえば、夜間対応は難しいが、休日当番なら一定回数協力できる。
在宅医療は全面的には難しいが、自院の通院患者さんの訪問診療から始められる。
初期救急は難しいが、学校医や予防接種には協力できる。
医師不足地域への定期的な勤務は難しいが、年数回の代診なら検討できる。

このように、現実的な協力案を持つことが大切です。

行政や医師会との関係は、開業してから急に作るものではありません。

開業前から相談し、地域の状況を聞き、自院の方針を説明する。

これが、これからの開業準備ではますます重要になります。

第5回では、これらを踏まえて、新規開業、分院展開、移転、承継を考える先生が、実際に何を確認すべきかをチェックリスト形式で整理します。

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