あなたが現在見ているのは 現場でどう減らすか――委員会、ラウンド、代替策検討を形だけにしない運用

現場でどう減らすか――委員会、ラウンド、代替策検討を形だけにしない運用

→目次に戻る

こんにちは。M&Cパートナーコンサルティング代表の村上佳子です。

今回は、身体的拘束を現場でどう減らしていくかについてお話しします。

身体的拘束最小化というと、「委員会を作る」「研修をする」「記録を残す」という話になりがちです。もちろん、それらは必要です。ただ、形だけ整えても、病棟の現場で拘束が減らなければ意味がありません。

令和8年度改定では、実績等基準の中で、身体的拘束の実施割合が1割5分以下であること、または委員会を3か月に1回以上開催し、身体的拘束が行われている病棟で解除や代替策を具体的に検討し、入院患者に関わる職員を対象とした研修を年2回以上行うことが示されています。

ここで大切なのは、「委員会で報告しました」で終わらせないことです。

たとえば、委員会では次のような確認が必要です。

この3か月で、どの病棟で、どのような身体的拘束が行われたのか。
拘束の理由は何だったのか。
同じ患者さんに長期間続いていないか。
夜間だけ、食事中だけ、点滴中だけなど、時間を限定できないか。
薬剤調整、環境調整、見守り方法、リハビリ、排泄支援で代替できないか。
家族説明はできているか。
解除できた事例は、他の病棟にも共有できないか。

こうした検討があって、初めて委員会が機能します。

200床未満の病院では、委員会を増やしすぎると現場が疲れます。ですから、既存の医療安全委員会や転倒転落対策、認知症ケア、看護管理会議などと連動させるのが現実的です。

ただし、議事録上は、身体的拘束最小化について何を検討したのかが分かるようにしておく必要があります。

病棟での検討も重要です。

身体的拘束が行われている患者さんについて、身体的拘束最小化チームが巡回し、チームの職員と病棟の職員が協働して解除や代替策を検討する方法があります。または、病棟内の複数の職員が協働して検討する方法も示されています。

小規模病院では、毎回チームが病棟を回るのが難しい場合もあります。その場合でも、病棟内で複数職種、または複数の職員が話し合い、「本当に続ける必要があるのか」を確認する仕組みを作ることが大切です。

たとえば、申し送りの中で「拘束継続確認」の項目を作る。
日勤リーダーが毎日確認する。
週1回、師長とリハ職、薬剤師、医師で短時間カンファレンスをする。
解除できた事例を病棟会議で共有する。

こうした小さな運用の積み重ねが、実際の最小化につながります。

研修についても、単なる制度説明だけでは不十分です。

疑義解釈では、認知症ケア加算に係る研修に身体的拘束最小化の内容を兼ねることについて、通則の身体的拘束最小化の基準に規定する研修内容を含む場合は満たすことができるとされています。ただし、身体的拘束最小化の基準では「認知症患者に関わる職員」だけでなく、「入院患者に関わる職員」が対象である点に注意が必要です。

これは、200床未満の病院にとって重要です。

認知症ケア研修と一体的に実施することは可能ですが、対象者の範囲を狭くしすぎてはいけません。看護職だけでなく、医師、リハビリ職、薬剤師、看護補助者、医療ソーシャルワーカーなど、入院患者に関わる職員が理解している状態を目指す必要があります。

身体的拘束を減らすためには、「拘束しないでください」と言うだけでは足りません。

転倒しやすい患者さんには、環境調整や見守りの工夫が必要です。
点滴を抜いてしまう患者さんには、点滴の必要性やルートの位置、薬剤、せん妄の要因を見直す必要があります。
夜間不穏の患者さんには、睡眠、痛み、排泄、照明、家族の関わりを確認する必要があります。
車椅子から立ち上がる患者さんには、座位姿勢、足底接地、トイレ誘導、活動量を見直す必要があります。

つまり、身体的拘束最小化は、多職種連携そのものです。

委員会、ラウンド、研修を「施設基準のため」に行うのではなく、現場の判断を支えるために使う。これができると、身体的拘束最小化は、現場を苦しめる制度ではなく、ケアの質を上げる仕組みになります。

次回は、身体的拘束最小化推進体制加算と、院長・事務長・看護部長が確認すべきチェックリストについてお話しします。

→目次に戻る