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身体拘束最小化推進体制加算と院長・事務長チェックリスト

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こんにちは。M&Cパートナーコンサルティング代表の村上佳子です。

6回にわたって、令和8年度診療報酬改定における身体的拘束最小化についてお話ししてきました。

最終回の今回は、身体的拘束最小化推進体制加算と、院長・事務長・看護部長が確認すべきポイントを整理します。

今回の改定では、身体的拘束の最小化に向けて、組織的に特に質の高い取組を行っている場合の評価として、身体的拘束最小化推進体制加算が新設されます。点数は1日につき40点です。対象は、療養病棟入院基本料、障害者施設等入院基本料、有床診療所療養病床入院基本料、地域包括ケア病棟入院料、特殊疾患入院医療管理料、特殊疾患病棟入院料を算定している患者です。

200床未満の病院では、地域包括ケア病棟や療養病棟を持っている病院も多いと思います。ですから、この加算は単なる大病院向けの話ではありません。

ただし、加算は「取れそうだから取る」というものではありません。

施設基準では、身体的拘束の最小化に資する十分な体制が整備されていること、病棟において十分な実績を有していること、病院全体として取組を行っていること、原則として身体的拘束を行わない方針であること、身体的拘束の実施状況を見やすい場所に掲示していること、さらに原則としてウェブサイトに掲載していることが示されています。

つまり、この加算は「委員会があります」「研修をしています」だけではなく、病院全体として身体的拘束を最小化する方針を明確にし、その実施状況も患者さんや家族に見える形にすることが求められるものです。

ここで、院長先生に確認していただきたいのは、まず病院としての方針です。

身体的拘束を原則として行わない。
やむを得ない場合も、必要最小限とする。
実施した場合は、解除に向けて継続的に検討する。
患者さんの尊厳と安全を両立する。

この方針を、院長や看護部長が自分の言葉で職員に伝えているかが重要です。

看護部長に確認していただきたいのは、現場運用です。

身体的拘束を開始するときの判断手順はあるか。
医師への報告、指示、記録の流れは明確か。
拘束中の観察項目は決まっているか。
解除検討のタイミングは決まっているか。
病棟ごとに判断がばらついていないか。
看護補助者や夜勤者までルールが伝わっているか。

ここが曖昧だと、制度上の体制はあっても、現場では不安が残ります。

事務長に確認していただきたいのは、施設基準管理と証跡です。

身体的拘束最小化チームの構成が分かる資料はあるか。
指針は最新化され、職員に周知されているか。
委員会は3か月に1回以上開催され、議事録が残っているか。
研修は年2回以上実施され、対象者と受講記録が残っているか。
身体的拘束の実施割合を直近3か月で集計できるか。
センサー、固定ベルト、車椅子対応などのカウントルールは統一されているか。
院内掲示やウェブサイト掲載が必要な場合、内容を誰が管理するか。

これらは、日々のケアとは別に、施設基準として説明できる状態にしておく必要があります。

また、経過措置にも注意が必要です。令和8年3月31日時点で入院基本料または特定入院料の届出を行っている病棟または病床については、令和9年5月31日までの間、指針の一部や実績等基準を満たしているものとする取扱いが示されています。

ただし、経過措置があるからといって、準備を先送りしてよいわけではありません。

むしろ、この期間に、記録様式、委員会運営、研修計画、実施割合の集計方法、病棟での解除検討の流れを整える必要があります。

最後に、200床未満の病院での対応ポイントをまとめます。

まず、身体的拘束最小化は、看護部だけの課題にしないことです。院長、看護部長、事務長、医師、リハビリ、薬剤、医療安全、認知症ケアが関わる病院全体のテーマです。

次に、書類だけで終わらせないことです。指針、委員会、研修、記録は必要ですが、それが現場の判断を助けるものでなければ意味がありません。

そして、数字を見ることです。身体的拘束の実施割合を集計し、病棟別、時間帯別、理由別に見ることで、自院の課題が見えてきます。

身体的拘束をゼロにすることだけが目的ではありません。

本当に必要な拘束か。
他の方法はなかったか。
もっと短くできなかったか。
次は解除できないか。
患者さんの尊厳は守られているか。

この問いを、病院全体で持ち続けることが大切です。

令和8年度改定は、身体的拘束最小化を「体制整備」から「実効性のある取組」へ進める改定です。

200床未満の病院こそ、現場との距離が近い強みを活かして、無理なく、しかし確実に、身体的拘束最小化の仕組みを整えていきましょう。

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