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最新厚生労働省からの発表について

今回は、令和4年9月に発表された最新情報(以下 1️⃣ ~ 3️⃣)を中心にお伝えしていきます。

1️⃣ アルコール検知器使用義務化規定について
2️⃣ 給与のデジタル払いに関する意見募集を開始
3️⃣ 最新助成金に関する情報提供

1️⃣ アルコール検知器使用義務化規定は、「当分の間」適用がありません。

 令和4年9月9日、警視庁より通達が発表されました。本来は令和3年の道路交通法施行規則の改正により、令和4年10月1日からアルコール検知器を用いた酒気帯び確認を行うこと並びにその内容を記録して1年間保存すること及びアルコール検知器を常時有効に保持することが義務化され、施行される予定となっていました。
 しかし、直近のアルコール検知器の供給状況等から、事業所において十分な数のアルコール検知器を入手することが困難と認められたため、この義務規定を10月1日に適用せず、目視等により運転者の酒気帯びの確認を行う、目視等義務化規定に読み替えて適用する旨を通達しました。
 ただし、以下2点をご留意ください。

(1)これはアルコール検知器を用いての確認があくまで当分の間適用されない、となったのみであり、令和4年4月1日より施行された、安全運転管理者が目視等による運転者の酒気帯びの有無の確認を行うこと及びその内容を記録して1年間保存する義務については、有効に施行されている事。
(※安全運転管理者の選任義務があるのは、乗車定員が11名以上の自動車を1台以上、またはその他の自動車5台以上を使用)
(2)十分な数のアルコール検知器が市場に流通するようになった段階で、再度道路交通法施行規則を改正し、できる限り早期にアルコール検知器使用義務化規定を適用するとされている事。

2️⃣ 給与のデジタル払いに関する意見募集を開始(募集自体は令和4年10月21日終了)。

 厚生労働省は、キャッシュレス決済の普及が進む中で、一定のニーズが見られることから、令和4年9月22日に給与のデジタル払い(資金移動業者の口座への賃金支払を行う場合)を可能とするための労働基準法施行規則の一部を改正する省令案について、意見募集を行いました。この改正省令案は、公布日として令和4年11月、施行日は令和5年4月1日を予定しています。
 ただし、労働者がデジタル払いを強制されないか、といった点(自由意志が担保されること)や仮に口座を管理する業者が破綻した場合に賃金支払口座の残高全額が確保されるかどうか、といった懸念が審議の中で検討されたため、デジタル払いを行う場合には、労働者が銀行口座又は証券総合口座への賃金支払も併せて選択できるようにすると共に、対象労働者に対して必要な事項を説明した上で同意を得なければならないものとされています。なお、このデジタル払いの資金移動業者として、以下の要件を満たすことが要求されています。

(1)賃金支払に係る口座の残高(以下「口座残高」という。)の上限額を100万円以下に設定していること又は100万円を超えた場合でも速やかに100万円以下にするための措置を講じていること。
(2)破綻などにより口座残高の受取が困難となったときに、労働者に口座残高の全額を速やかに弁済することができることを保証する仕組みを有していること。
(3)労働者の意に反する不正な為替取引その他の当該労働者の責めに帰すことができない理由により損失が生じたときに、その損失を補償する仕組みを有していること。
(4)最後に口座残高が変動した日から、少なくとも10年間は労働者が当該口座を利用できるための措置を講じていること。
(5)賃金支払に係る口座への資金移動が1円単位でできる措置を講じていること。
(6)ATMを利用すること等により、通貨で、1円単位で賃金の受取ができ、かつ、少なくとも毎月1回はATMの利用手数料等の負担なく賃金の受取ができる措置を講じていること。
(7)賃金の支払に係る業務の実施状況及び財務状況を適時に厚生労働大臣に報告できる体制を有すること。
(8)賃金の支払に係る業務を適正かつ確実に行うことができる技術的能力を有し、かつ、十分な社会的信用を有すること。

3️⃣ 業務改善助成金の拡充について

 今年10月からの最低賃金引上げに伴い、厚生労働省は2022年9月1日に業務改善助成金の拡充を実施しました。
 まず、業務改善助成金とは、中小企業・小規模事業者の生産性向上と事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)の引上げを図るための制度です。具体的には、事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が30円以内、規模100人以下の中小事業者が生産性向上のための設備投資等(機械設備、コンサルティング導入や人材育成・教育訓練)により賃上げを行う場合、賃金の引上げ額及び引き上げる労働者数ごとに決められた上限額の範囲で助成を行います。
 今回の拡充は、「原材料費の高騰等、社会的・経済的環境変化等外的要因により、利益率が前年同月に比べて(令和3年4月から令和4年12月のうち、任意の1カ月)5%以上低下した事業者」が助成対象に追加になり、賃上げ対象期間が令和4年12月31日まで延長、更に申請期間も令和5年1月31日まで、に延長されています。単に事業場内賃金を引き上げるだけではなく、生産性向上等に役立つ設備投資等を行い、費用を支払うことが前提の助成金ではありますが、ご関心がありましたら、顧問の社労士の先生等にお尋ね下さい。
 他に医療機関さまにオススメの助成金としては、両立支援等助成金もあります。医療機関のお客さまは女性の方が多い仕事場でありますので、育児休業等もよく発生する場所です。これから育児休業に入る方がいる場合や、これからご結婚等がある場合には受給の可能性がある助成金ですので、そういう会社さまはぜひ一度調べられてください。

石井 洋(いしい ひろし)

M&Cパートナーコンサルティング パートナー
(株)佐々木総研 人事コンサルティング部 部長
長崎出身。九州大学卒業。社会保険労務士。フットワークが軽く、かゆいところに手の届くコンサルティングで、主に若い経営者からの人気を誇る。就業規則や人事考課制度の見直しから、スタッフミーティングの開催など、幅広いコンサルティングを行う。セミナー講師の経験も豊富で、その場のニーズに合わせた柔軟なセミナーを得意。趣味はバドミントン・フットサル・旅行。