SNSにも「マナー」があります。トラブルになり後悔しないためにも少し考えてみましょう。
医療機関の中でも、SNSを活用している医療機関も増えてきました。
SNSではだれでも気軽に発信できるので、医療機関や介護事業所でも取り組み易く、医療機関の雰囲気を伝えることや、認知度を向上させるのに効果があるといわれています。
しかしながら、だれでも気軽に書込み・発信することができるため、トラブルが多いのも事実です。そして、SNSを活用することにも「マナー」があります。
SNSは個人の感情も出来事も気軽に記載できます。また、写真を使用することもできるため、うっかり個人情報になるようなことも記載してしまいトラブルになるケースもあります。プライベートと仕事との境目がわからなくなってくる場合もあります。「そんなつもりじゃなかったのに」と後悔しないためにも、少し考えてみましょう。
- 誰が読むか・見るかわからないことを意識する
私が医療機関に勤務しているころ、仮病を使ってコンサートに行ったことがばれて欠勤の扱いになったという事例がありました。
実はこのきっかけは、SNSに投稿された1枚の写真からでした。
見ず知らずの方が、コンサート会場の前で撮影したものをSNSにアップしたところ、たまたまその記事を上司が見てしまったために仮病がばれてしまったのです。
皆さんの中で、「あれ、こんなところに〇〇サンが写ってる~」というような経験ありませんか?
また、気軽に「今日の出来事」や「自分の感情」を書き込めるため、ついつい患者さんのことや同僚のことなどを書いてしまうケースもあるようです。発信しているのは、プライベートと仕事とは意識して区別していく必要があるでしょう。
- 個人情報やプライバシーの保護について
ここで個人情報保護のことを詳しく述べていてはとても誌面が足りませんので、割愛しますが、例えば「〇〇病院の△△さんが書いた記事」について、記事の中の氏名等を伏せて記載したとしても、勤務先と記事の内容をつないでもしかしたら□□さんのことよね・・・とつながってしまうと、個人情報保護に引っかかってくる可能性が出てきます。
- SNSの特性を知る
SNS は、Facebook、LINE、Twitter、Instagramなどがすぐに浮かんでくると思います。Facebookの場合だと公開範囲を決めることができたり、LINEなど、グループを作ることができたり、Twitterだったら140文字という制限があったり、それぞれの活用するツールのルールを確認し、使用方法を決める必要があります。また、目的により活用するものを選定する必要もあるでしょう。
職員向けに発信する、特定の条件に当てはまった患者さんにだけ発信する場合であれば、グループアカウントを作り、その中に招待する形で活用してもらうこともできるでしょう。利用するメンバーを制限し、オープンな環境とは少し異なる場を作ることも可能です。
- 活用のポイント
SNSを活用するにあたって、考えてほしいことは、3つあります。
❶ どのような方(ターゲット)に対し、
❷ 何を伝えたいか(目的)。
そして❸番目にそのためにどのツールを使うのが良いかということが検討課題になるでしょう。
医療機関や介護施設のことを知ってもらうためにはオフィシャルなサイトをもとに、治療内容や医師や医療技術者の紹介を載せるとともに、働く環境や先生方の雰囲気・人柄などを広く知ってほしい場合などは、FacebookやInstagramを活用されるといいでしょうし、広く浅くアンケートを取りたい場合等、Twitterで投げかけてみるのもいいかもしれません。
- SNSでのマナー
写真や記載する内容について書いてきましたが、SNSで記載すると、その人本人だけではなく、「医療機関」「介護施設」の考え、ということにも受け取られます。このため、丁寧語を使用すること、話題の主語を「私たちの医療機関・介護施設」という立ち位置を意識することが大事だと思います。
また、患者様のことや職員のことを書く場合や写真を使う場合は、本人にどうして掲載したいのかを説明し、了承をもらったうえで掲載するようにしましょう。
記載する人により、砕けすぎたり、丁寧すぎたりすると、見ていて気持ちの良いものではありません。見てくださる読者に対し、敬意をもって丁寧に話をするように文章を書く方が読みやすい記事になると思います。
長 幸美(ちょう ゆきみ)
(株)M&Cパートナーコンサルティング パートナー
(株)佐々木総研 医業経営コンサルティング部 シニアコンサルタント
20数年の医療機関勤務の経験を活かし、「経営のよろず相談屋」として、医療・介護の専門職として、内部分析・コンサルティングに従事。