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HOSPITALITY 〜長先生の接遇レッスン〜 VOL.32 クレーム対応〜犯人捜しをしていませんか?〜

クレームは、業務改善やシステムを見直すチャンス!前向きにとらえましょう!

受付で仕事をしていると、待ち時間の問題や看護師さんや先生方の説明・対応などに対し、小言を言われる患者さま・ご家族さまもいらっしゃいます。いわゆるクレームです。
 こういったクレーム対応は、気が重く面倒ですよね。理不尽な言われ方をする場合もあります。けれど、いやいや対応していては、相手の方にも気持ちが伝わり、事態を悪化させることにもなりかねません。

クレームを言う相手に対し、面倒くさそうに対応する

 クレームを喜んで受け取る人はまずいないでしょう。大抵は面倒くさくて、できれば避けたいと思うのではないでしょうか?・・・だからと言って、あからさまにため息をついたり、面倒くさげに対応してしまうと、相手の感情をこじらせてしまいます。

不快な気持ちにさせてしまったことに向き合わない

 「クレームを言う」ということは、ハードルが高いものです。また、相手はその出来事について「不快な気持ちになっている」という事実があります。「そんなこと言われたって、できないものはできないのよ、ルールなんだから!」というのは、理由にはなりません。 「不快な気持ち」にさせてしまったことについては、謝罪したほうが良いですね。

犯人捜しをする

 クレームを申し出てくれた相手に対し、「誰がそんなこと言ったんですか?」「誰がそんな対応したんですか?」と問いただしても、相手様は気分が損なわれるだけです。

 さて、このようなクレームの対応をする場合、つい「もう!またクレーム?」「私が悪いんじゃないわ!」「誰がやったの?」と思いがちですが、ちょっと待ってくださいね。あなたのその態度で、もしあなたがクレームを言う側だったら、納得しますか?

クレームの事実を受け止める

 相手の話に向き合い、最後まで話をききましょう。まずは「相手がどう思っているか」ということに集中し、受け止めていくことが相手の納得感につながっていきます。
 この段階では、否定も肯定もしません。もちろん、反論したくなることはあるでしょうが、そこはぐっとこらえて・・・。仮に相手の話が事実と異なっていたとしても、話をしているときに間違いを指摘されると、「受け止めてもらえていない」という気持ちを感じさせてしまいます。
 「そうですか・・・」「そうだったんですね・・・」「こう思われたのですね・・・」と話をきいていくようにしましょう。そういう聴き方をすると、自然と「いやな思いをさせてしまって、申し訳ありません」という相手に寄り添った言葉が出てきます。聴き手に別の感情が入ってくると、いやそれはですね・・・と相手を否定する言葉が出てきてしまいます。どちらが相手の納得感が得られるでしょうか?

犯人捜しをせず、事実確認を!

 クレームの内容にもよりますが、誰がやったか・・・というよりも、クレームの内容が事実であるか、それは患者さんやご家族にとって、医療機関にとって利益か不利益か・・・どうしたらより良い医療サービスの提供になるのか、ということを検証しましょう。
 同じクレームを繰り返さないためには、とても大事なステップです。

客観的な視点で事態を説明し、改善する

 相手の話を一通り聴いた後がとても大事になります。その場でお話を終わらせることは少ないと思います。いったんはクレームを預かり、事実確認や対応策などを後日説明します。その際、こちらに非がある場合には、丁寧に謝罪します。

 チーム医療を行う医療現場では、些細な行き違いやコミュニケーションのずれなどでクレームとなる事態や医療ミスにつながっていきます。
 こういったクレームをきっかけに業務改善やシステムの見直しにつないでいき、サービスを向上させることもできます。クレームはサービスを向上させる機会でもあることを前向きにとらえていきましょう。
 最後に、誰しもクレームは言いづらいものです。「医療機関のなかの人」には見えなかった部分を教えてくれた、と思うと、感謝の言葉も出てきますよね。

長 幸美(ちょう ゆきみ)

(株)M&Cパートナーコンサルティング パートナー
(株)佐々木総研 医業経営コンサルティング部 シニアコンサルタント
20数年の医療機関勤務の経験を活かし、「経営のよろず相談屋」として、医療・介護の専門職として、内部分析・コンサルティングに従事。