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HOSPITALITY 〜長先生の接遇レッスン〜 VOL.28 Yes,and〜〜でコミュニケーションを円滑に!

「Yes, and」のマインドセットを取り入れて、「それから」「そして」とプラスに考えていく練習を…!

 最近クリニックの先生から「長く勤務していた職員が退職して、職員とのコミュニケーションが取れなくなってきた」というお話をお聞きすることがありました。

 はてさて・・・どういうことでしょうか?

 コロナ禍になり、医療機関でもパソコンでの対応が多くなり、LINEワークスやマイクロソフト等のチャット機能を活用して、情報共有や伝達を推奨している医療機関も増えています。広報でも紙の広報誌よりもSNSによる発信が多くなり、なかなか直接話をすることが無くなってきていますよね。それでも、医療や介護の現場は対面やコミュニケーションがとても重要になってきます。人によっては、電話をかけず、ショートメールで連絡を省略する場合もあるようですが・・・今どきの若い人は・・・という言葉で片づけてしまってもよいのでしょうか?

 このところよく、「昔ながらのやり方に固執している職員」と「新しく入職した職員」との間で摩擦が起こり、困惑している先生からのご相談があります。
 当事者の話をお聞きしていると、双方に言い分があるのですが、「昔は〇〇だったのに~」「前の病院ではそんなことしていなかった!」と不毛な議論を展開している場面が多いように思います。世代間の格差と言ってしまえばその通りなのですが、お互いに譲らなければどちらかがはじきだされてしまうことになります。
 また、以前はトップダウンで何とかなっていたものが、現在の教育体制の中で通用しなくなっているのも事実でしょう。どちらが悪いわけでもなく、世の中の流れが見えていないだけだと思うのですが・・・「ああ~昔は〇〇だったのに・・・!」

 本来、皆さんが「やらなければならない」ことは何でしょうか?
 医療で地域を支えること、安心・安全の医療提供をすることではありませんか?
 何のために、この作業があるのか、少し立ち止まって考えてみてください。
 だからと言って、昔ながらのやり方が良いと言っているわけではありませんよ。その方法は、作業をやり始めた当初はよい方法だったかもしれません。しかし、IT化が進み、電子カルテやレセコン等が発展してきた現在では、昔ながらのやり方では、手間がかかることになってしまっているかもしれません。

 「昔からこうしてたから」「こうするように言われていました」というものです。この時点で、すでに「何のために」という目的はわかりません。やり方を変えることはなかなか面倒なことかもしれませんが、世の中がこれだけ変化しているのです。他の医療機関のやり方など、容易な方法等があるのであれば、一度取り組んでみてもよいのではないかと思います。

 別の医療機関や他業種から医療に入ってきてすぐは、「何故こんなことをしているのだろう」と不思議に思うこともたくさんあります。それは医療制度をしっかりと学んでいないことが原因であったり、独自の方法に慣れていたりするからということもあるでしょう。
 もともとのやり方や方法を見直すきっかけになることもあり、それはそれで有益なことでもあります。少し耳を傾けてみてもよいのではないでしょうか。

 そこで皆さんにお勧めしたいことがあります。 「Yes, and」で考えてみませんか? これは思考のマインドセットです。これからのことを考えていくために、「それから」「そして」とプラスに考えていく、練習をするのです。コミュニケーションを円滑にするためには、次の言葉・発想の転換が大事になりますよね。

 「でも・だけど(but)」「何故?(Why)」となると、お互いに相容れず前にすすめません。「でも」「何故」という言葉の後には、「うちにはうちのやり方があるのよ」「何故そんなことしないといけないの」「いやだわあ」と相手を否定する言葉が続いてきます。こういわれてしまうと、人格までも否定されているようで、話ができなくなってしまいますね。
 それよりも、「Yes,and」と相手をまるっと受入れた発想で話を聞いていくと、良いアイデアに行きつくこともあります。小さなことかもしれませんが、意識してみませんか!

長 幸美(ちょう ゆきみ)

(株)M&Cパートナーコンサルティング パートナー
(株)佐々木総研 医業経営コンサルティング部 シニアコンサルタント
20数年の医療機関勤務の経験を活かし、「経営のよろず相談屋」として、医療・介護の専門職として、内部分析・コンサルティングに従事。