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HOSPITALITY 〜長先生の接遇レッスン〜 VOL.24 感染対策と接遇

感染対策をしつつ、できること。医療接遇で大切なこと、意識して実践してほしいこと。

新型コロナウイルスの流行により、マスク生活が長く続いていますが、高齢者や視覚障害者、聴覚障害者、そして子供たちにとって目元だけしか見えず、コミュニケーションがとりづらい場面が多くなってきています。
 今回はそのような場合の接遇について考えてみましょう。

 現在医療機関だけに限らず、マスクの着用とアクリル板の設置などで、環境面でも声が通りにくくなっています。このため、高齢者や聴覚に障害がある場合、障害とまではいかなくても何を言われているのか、だれに言われているのかわかりにくいという課題があります。聞きとりにくいため何度も聞き返したり、途中であきらめたり、聞き間違えによる認識のずれが生じている場合もあります。
 さらに、マスクからは目元しか見えず、表情も読み取りづらくなっているのも事実です。顔全体の柔らかな表情を伝えることはできませんし、患者さんの些細な表情の変化に気づくことも難しくなり、体調の変化に気づくことが遅れてしまうことも考えられます。

 感染対策をしつつ、我々にできることがあります。聞きとりづらさそして接遇で大事な表情について大切なこと、意識して実践してほしいことをお伝えします。

伝え方

 マスクやアクリル板があるとどうしても障壁になり声がくぐもってしまいます。意識的にゆっくりと短いセンテンスで伝えていくようにしましょう。怒鳴るような大きな声は、話し手にとっても聞き手にとっても負担になります。
 聴覚障害がある方は、耳で聴くこととともに、口元を見て読み取ろうとされますが、口元が見えないと、「口元を見る」という補助手段が奪われてしまうことになります。何度も聞き返される場合などは、筆談を取り入れることも有効だと思います。
 また、よく聞かれることやよく説明することは、フリップを作り、持ち帰ってもらうチラシを作ってもいいかもしれません。
 お薬の使い方や検査の説明などは、わかりやすいものを業者さんが作られていますので、そういったものを活用したり、マーカーを付けたりしながら説明して、持ち帰ってもらうのをお勧めします。

マスクをしていても笑顔で

 マスクの下は見えないから…と思って油断してはいませんか?
 目元の表情筋と口元はつながっているといわれています。目元だけ意識しようと思っていても、口元が無表情だと目元も無表情に冷たい印象を与えてしまいます。マスクをしているときは、よりにこやかに意識してみましょう。
 また、笑顔を意識することで顔全体の表情筋が緩み、話をするときも口を大きく動かすことができ、結果的に言葉がはっきりするという効果もあるようです。仕事の前、お手洗いに行ったときなど、マスクを外して、自分自身の表情…笑顔を確認してみましょう。笑顔は自分自身の心も穏やかにします。笑顔を意識して過ごしましょう。

身だしなみ

 話しかけやすい雰囲気を作ることもとても大事なことになります。
 マスクを着用すると、目元の表情が大事なことをお伝えしましたが、その目元が見えないようでは暗く、話しかけづらい印象を与えてしまいます。目元に前髪がかからないようにヘアスタイルを整えることも、とても大事になってきます。
 特に事務職員はうつむいて仕事をすることが多いので、おでこを出すイメージが良いかもしれません。

 このほかにも、しっかりとアイコンタクトを意識して挨拶することや「うなずき」や「オウム返し」「手元資料」などによる、「あなたの話を聴いていますよ」「あなたのお話の趣旨はこういうことですね」「ここは大事です、守ってくださいね」という内容をしっかりと伝えていくことは、スムーズなコミュニケーションと安心感に、とても大事なことだと思います。
 皆さんもこれを機会に見直してみませんか?

長 幸美(ちょう ゆきみ)

(株)M&Cパートナーコンサルティング パートナー
(株)佐々木総研 医業経営コンサルティング部 シニアコンサルタント
20数年の医療機関勤務の経験を活かし、「経営のよろず相談屋」として、医療・介護の専門職として、内部分析・コンサルティングに従事。