こんにちは。
M&Cパートナーコンサルティング代表の村上佳子です。
今回は、疑義解釈その10の中から、診療情報提供料(Ⅰ)の取り扱いについてお話しします。
令和8年度診療報酬改定では、診療情報提供料(Ⅰ)について、診療報酬明細書、つまりレセプトの摘要欄に、保険医療機関を含むすべての情報提供先を記載することとされました。
これだけ聞くと、医事課としては少し緊張しますよね。
「医事会計システムがまだ対応していない」
「摘要欄に情報提供先を入れる運用が整っていない」
「記載がなかったら返戻や査定になるのではないか」
こうした心配が出てくると思います。
今回の疑義解釈その10では、この点について、情報提供先については摘要欄への記載が望ましいものの、記載がない場合でも、算定要件を満たしていれば診療情報提供料(Ⅰ)の算定は可能とされました。ただし、紹介先の医療機関等が特定されていること、交付した文書の写しを診療録に添付することなど、算定要件には留意する必要があるとされています。
ここで大事なのは、「摘要欄に書けなくても算定できる」というところだけを見ないことです。
今回の疑義解釈は、決して「何も記録がなくてもよい」と言っているわけではありません。
むしろ逆です。レセプト摘要欄に書けない場合であっても、診療録や紹介状控えで、算定要件をきちんと確認できる状態にしておくことが必要です。
医療機関の実務で確認すべきポイントは、主に3つあります。
1つ目は、情報提供先が明確になっているかです。
「紹介状を書いた」という事実だけでなく、どこの医療機関、どの診療科、どの施設、どの医師宛てなのかが確認できる状態が必要です。
2つ目は、交付した文書の写しが診療録に添付されているかです。
電子カルテであれば、紹介状控えがきちんと保存されているか。紙カルテやスキャン運用であれば、どのタイミングで誰が保存するのか。ここが曖昧だと、後から確認できなくなります。
3つ目は、医事課と診療部門の連携です。
医事課だけで診療情報提供料(Ⅰ)の算定可否を判断しようとしても、紹介状の内容や提供先の確認には限界があります。診療部門で文書を作成し、医事課で算定する。この流れの中で、どこに証拠が残るのかを整理しておくことが重要です。
今回の疑義解釈は、医事会計システムの対応遅れに配慮したものとも読めます。
ですから、医事課としては少し安心してよい部分もあります。
ただし、安心してよいのは「システム未対応だから即算定不可ではない」という点です。
一方で、「紹介先が特定されていない」「文書の写しが残っていない」「診療録から確認できない」という状態は、やはり問題です。
私が医療機関におすすめしたいのは、診療情報提供料(Ⅰ)について、次のような簡単な確認を行うことです。
まず、直近1か月分の算定事例を数件抽出します。
次に、レセプト、診療録、紹介状控えを照合します。
そして、情報提供先が確認できるか、文書控えが保存されているかをチェックします。
これだけでも、自院の運用の弱い部分が見えてきます。
診療報酬改定への対応というと、どうしても「レセプト請求上どうするか」に目が向きがちです。
しかし、今回の診療情報提供料(Ⅰ)の論点は、レセプトだけではなく、診療録管理、文書管理、部門間連携の問題でもあります。
摘要欄に書けるようになったら終わり、ではありません。
摘要欄に書けない期間であっても、診療録上で説明できる状態をつくる。これが今回のポイントです。
次回は、施設基準と届出管理について見ていきます。
リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算等と、在医総管の注16を中心に、「いつ確認するのか」「いつ変更届が必要なのか」を整理します。

