あなたが現在見ているのは 疑義解釈その10の全体像――今回、医療機関が本当に確認すべき論点はどこか(第1回/全5回)

疑義解釈その10の全体像――今回、医療機関が本当に確認すべき論点はどこか(第1回/全5回)

→目次に戻る

こんにちは。
M&Cパートナーコンサルティング代表の村上佳子です。

令和8年度診療報酬改定について、令和8年7月17日付で「疑義解釈資料の送付について(その10)」が示されました。厚生労働省の令和8年度診療報酬改定ページにも、その1からその10までの疑義解釈が掲載されています。今回のその10は、医科、歯科、調剤、訪問看護、掲示事項に分かれて整理されています。(厚生労働省)

まず申し上げたいのは、今回の疑義解釈その10は、制度全体を大きく変えるものではありません。
どちらかというと、改定後に現場から出てきた「この場合はどうするのか」「毎月確認が必要なのか」「レセプト摘要欄に書けない場合は算定できないのか」といった、実務上の迷いを整理したものです。

医療機関として特に見ておきたいのは、主に5つです。

1つ目は、リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算等に関する施設基準の確認です。
院内発生褥瘡の割合について、届出後に毎月要件を満たさなければならないのか、という点が整理されました。

2つ目は、診療情報提供料(Ⅰ)です。
令和8年度改定では、レセプト摘要欄に情報提供先を記載することとされましたが、医事会計システムが対応していない場合などに、記載がないと算定できないのか、という点が示されています。

3つ目は、在宅時医学総合管理料、いわゆる在医総管の注16です。
2月、5月、8月、11月に基準該当可否を確認する仕組みの中で、確認月以外に状況が変わった場合の取り扱いが整理されました。

4つ目は、精神科領域の医療保護入院等診療料と、放射線治療領域の体外照射です。
どちらも対象となる医療機関は限られますが、該当する病院では算定可否に直結する内容です。

5つ目は、掲示事項です。
保険医療機関内の掲示について、デジタルサイネージ等による電子的表示が認められることが示されました。ただし、紙媒体の備付けも必要とされています。

今回の疑義解釈を見るときに大切なのは、「うちは関係ある、関係ない」と一気に判断しないことです。
たとえば放射線治療をしていない診療所であれば体外照射の論点は直接関係ないかもしれません。一方で、掲示事項は多くの医療機関に関係します。診療情報提供料(Ⅰ)も、紹介状を出している医療機関であれば、実務上かなり関係してきます。

また、歯科、調剤、訪問看護の疑義解釈も含まれています。病院や医科診療所が直接算定するものではないとしても、薬局や訪問看護ステーションとの連携を考えるうえでは、知っておいた方がよい内容もあります。

今回のその10は、派手な改定ではありません。
しかし、医事課、事務長、経営層にとっては、「現場運用をどう整えるか」という意味で、とても実務的な疑義解釈です。

特に大事なのは、次の3つです。

まず、レセプトだけで判断しないこと。
次に、施設基準の確認タイミングを誤解しないこと。
そして、掲示や診療録添付など、患者さんや監査・個別指導で確認される部分を整えておくことです。

診療報酬改定は、点数や算定要件を読むだけでは不十分です。
今回のような疑義解釈を通じて、「実際に医療機関でどう運用するか」まで落とし込むことが大切です。

次回は、診療情報提供料(Ⅰ)の摘要欄記載について見ていきます。
「システムが対応していないから摘要欄に書けない。では算定できないのか」という、現場で起こりやすい論点です。

→目次に戻る