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令和8年度の立入検査は何が変わるのか――「書類確認」から「運用確認」へ(第1回/全6回)

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こんにちは。M&Cパートナーコンサルティング代表の村上佳子です。

今回から6回にわたって、令和8年度の医療法第25条第1項に基づく立入検査について、医療機関の院長先生、事務長さん向けにお話ししていきます。

「立入検査」と聞くと、病院だけの話、あるいは保健所が来たときに書類を見せるだけの話、と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

でも、今回の資料を見ていくと、少し印象が変わります。

令和8年度の立入検査では、従来からの医療安全、医薬品管理、放射線管理、職員配置などに加えて、サイバーセキュリティ、オンライン診療、医療広告、自由診療の説明、無資格者による医療行為の防止など、医療機関の管理運営全体に関わる項目が幅広く確認される流れになっています。

つまり、単に「この規程はありますか」「この書類はありますか」と確認されるだけではありません。

院内のルールがあり、そのルールを職員が理解していて、実際に運用されていて、さらに記録として残っているか。

ここが大事になります。

たとえば、医療安全管理指針がファイルに入っていても、事故が起きたときの報告ルートを現場スタッフが知らなければ、実効性があるとはいえません。

サイバーセキュリティのチェックリストに丸がついていても、バックアップの復元確認をしたことがない、退職者のIDが残ったまま、委託業者との責任分界が曖昧、という状態では不十分です。

オンライン診療も同じです。

システムを契約していることが大事なのではありません。

医師が必要な研修を受けているか、患者さんに説明しているか、本人確認をしているか、診療録に適切に記載しているか、急変時の対応を決めているか。

こうした日々の運用が問われます。

医療広告についても、院内掲示だけでなく、ホームページ、ランディングページ、SNS、動画、症例写真、口コミの見せ方などが確認対象になり得ます。

とくに自由診療を行っている医療機関では、料金、リスク、副作用、治療期間、解約条件などを患者さんにきちんと説明しているかが重要です。

では、事務長さんは何をすればよいのでしょうか。

まず大切なのは、立入検査を「当日対応」だと考えないことです。

立入検査は、日頃の管理運営がそのまま表に出る場です。

普段から、院内ルール、担当者、記録、改善状況を整理しておくことが何より重要です。

次に、各部門に任せきりにしないことです。

医療安全は看護部、サイバーはシステム担当、広告は広報担当、オンライン診療は医師、というように分かれている医療機関も多いと思います。

しかし、立入検査で問われるのは、最終的には医療機関としての管理体制です。

「誰かがやっているはず」ではなく、院長先生と事務長さんが全体像を把握しておく必要があります。

そして最後に、記録を残すことです。

会議をした、研修をした、点検をした、改善した。

これらは、実施しただけでは足りません。

日付、参加者、内容、確認結果、改善内容を残しておくことが重要です。

令和8年度の立入検査は、医療機関にとって少し負担に感じるかもしれません。

ただ、見方を変えれば、自院の管理体制を見直すよい機会でもあります。

患者さんに安心して医療を受けてもらうために。

職員が安心して働ける職場にするために。

そして、万が一のときに医療機関を守るために。

この連載では、医療安全、サイバーセキュリティ、オンライン診療、広告規制、そして立入検査に向けた院内準備について、実務目線で一つずつ整理していきます。

第1回のポイントは3つです。

1つ目は、令和8年度の立入検査は、書類の有無だけでなく、実際の運用と記録が確認されるということ。

2つ目は、医療安全、サイバー、オンライン診療、広告など、確認対象が横断的になっているということ。

3つ目は、事務長さんが院内全体の管理状況を把握し、日頃から説明できる状態を作っておくことです。

次回は、医療安全で確認されるポイントについてお話しします。

事故対応、死亡事例、記録整備など、重いテーマではありますが、医療機関の管理者として避けて通れない内容です。

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