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医療安全で確認されるポイント――事故対応、死亡事例、記録整備をどう見直すか(第2回/全6回)

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こんにちは。M&Cパートナーコンサルティング代表の村上佳子です。

今回は、令和8年度の立入検査で確認されるポイントのうち、医療安全についてお話しします。

医療安全というと、院内感染対策や転倒転落、誤薬防止、針刺し事故、インシデントレポートなどを思い浮かべる方が多いと思います。

もちろん、それらも大切です。

ただ、今回とくに意識したいのは、医療事故が起きたときに、医療機関としてどのように把握し、判断し、記録し、対応するのかという点です。

特に重要なのが、死亡・死産事例の把握と判断プロセスです。

患者さんが亡くなられた場合、そのすべてが医療事故というわけではありません。

しかし、管理者が把握した死亡・死産事例について、医療事故に該当する可能性があるのかどうかを、どのような流れで確認するのか。

誰が情報を集めるのか。

誰が判断に関与するのか。

判断した結果をどこに記録するのか。

遺族から「医療事故ではないのか」と申出があった場合、誰がどのように対応するのか。

ここが曖昧なままだと、いざというときに組織として対応できません。

医療事故対応で大切なのは、感情論ではなく、手順と記録です。

もちろん、患者さんやご家族への誠実な説明は大前提です。

ただし、それと同時に、医療機関として何を確認し、どのように判断し、どのような対応をしたのかを残しておかなければなりません。

「院長が判断したから大丈夫です」

「その場で説明しました」

「看護師長が対応しました」

これだけでは、あとから見たときに説明が難しくなります。

特に中小病院やクリニックでは、普段から院長先生や一部の職員に判断が集中しがちです。

だからこそ、簡単でもよいので、医療安全に関する報告ルートを整えておくことが必要です。

たとえば、重大なインシデントや死亡事例が発生した場合には、まず現場責任者から管理者へ報告する。

必要に応じて医療安全管理委員会や関係職種で検討する。

医療事故調査制度の対象となる可能性がある場合には、外部への相談も含めて検討する。

遺族対応の内容、説明者、説明日時、説明内容、質問内容を記録する。

このような基本の流れを決めておくことが大切です。

また、医療安全に関する研修も重要です。

研修は、単に年に1回実施すればよいというものではありません。

医療機関の規模や機能に応じて、職員が自院のルールを理解しているかが問われます。

特に、事故発生時の初動対応、報告のタイミング、記録の残し方、患者さん・ご家族への説明の基本姿勢は、職員に共有しておきたいところです。

そして、もう一つ忘れてはいけないのが、医薬品の管理です。

毒薬・劇薬については、医薬品医療機器等法に基づく適切な保管、管理が確認されます。

鍵の管理はどうなっているか。

保管場所は適切か。

在庫管理や使用記録は残っているか。

管理責任者は明確か。

このあたりは、日常業務の中で慣れてしまい、点検が形式的になりやすい部分です。

立入検査の前だけ慌てて確認するのではなく、定期的に棚卸や管理状況を確認しておくことが必要です。

医療安全は、どうしても「問題が起きたときの対応」として考えがちです。

でも、本当に大切なのは、問題が起きる前に、院内で同じ考え方を共有しておくことです。

事故が起きたとき、誰に報告するのか。

どのレベルから管理者に上げるのか。

患者さんやご家族への説明は誰が行うのか。

記録はどこに残すのか。

外部への報告や相談が必要な場合、誰が判断するのか。

このような基本事項を整理するだけでも、医療機関の安全管理体制は大きく変わります。

事務長さんには、医療安全は医療職だけの仕事だと思わないでいただきたいのです。

医療安全委員会の議事録、研修記録、インシデントレポートの管理、事故対応マニュアル、医薬品管理の記録などは、事務部門が関わる場面も多くあります。

医療職と事務職が一緒になって、説明できる体制を作ることが大切です。

今回のポイントは3つです。

1つ目は、死亡・死産事例や重大事故について、管理者が把握し、判断し、記録する流れを整えること。

2つ目は、医療事故やインシデント発生時の報告ルート、遺族対応、記録様式を確認すること。

3つ目は、医療安全は医療職だけでなく、事務長さんも管理体制として関与すべきテーマだということです。

次回は、サイバーセキュリティについてお話しします。

最近は、電子カルテやレセコンが止まると、診療そのものが止まってしまいます。

立入検査でも重要な確認項目になっていますので、実務的に見ていきましょう。

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