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退院時薬剤情報連携加算の削除をどう見るか――薬局連携は不要になったのではありません(第3回/全6回)

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こんにちは。M&Cパートナーコンサルティング代表の村上佳子です。

第3回は、令和8年度改定で削除された退院時薬剤情報連携加算についてお話しします。

今回の改定で、退院時薬剤情報管理指導料に関連する大きな変更点の一つが、従来の退院時薬剤情報連携加算の削除です。

この加算は、入院前の内服薬を変更した患者さん、または服用を中止した患者さんについて、保険薬局に対して、その理由や変更・中止後の患者さんの状況を文書で提供した場合に評価されていたものです。

点数としては60点でした。

これが削除されたわけです。

では、医療機関としては、
「薬局に情報提供しても評価されないなら、もうやらなくてよい」
と考えてよいのでしょうか。

これは、まったく違います。

今回の改定の方向性は、薬局連携を軽くすることではありません。
むしろ、退院後の医療機関、薬局、介護施設などに、必要な薬剤情報をきちんとつなぐことが、これまで以上に重視されています。

では、なぜ退院時薬剤情報連携加算が削除されたのでしょうか。

私の理解では、これは評価の場所が変わったということです。

従来は、退院時薬剤情報管理指導料に加算する形で、保険薬局への情報提供が評価されていました。

しかし令和8年度改定では、ポリファーマシー対策や薬剤総合評価調整加算の見直しの中で、転院先、退院後の医療機関、保険薬局などへの情報連携を、より広い枠組みで評価する方向になっています。

つまり、薬局だけに情報提供するというより、
「退院後に患者さんを支える関係者へ、薬剤情報をどうつなぐか」
という視点に変わっているのです。

ここで大切なのは、院内の受け止め方です。

加算が削除されたという情報だけが現場に伝わると、
「この業務は優先度が下がった」
と誤解されることがあります。

しかし、実際には、退院時の薬剤情報連携は引き続き重要です。

例えば、入院中に睡眠薬を中止した患者さん。
降圧薬を減量した患者さん。
糖尿病薬を変更した患者さん。
抗凝固薬の開始・中止があった患者さん。
副作用が疑われた薬がある患者さん。

こうした情報が退院後の薬局やかかりつけ医に伝わっていなければ、どうなるでしょうか。

退院後に以前の薬が再開される。
薬局で変更理由が分からず、患者さんが不安になる。
施設職員が服薬管理で迷う。
重複投薬や相互作用のリスクが残る。

こうしたことが起こり得ます。

退院時薬剤情報管理指導料の本来の目的は、医薬品の副作用、相互作用、重複投薬などを防ぎ、退院後も安全に薬物療法を継続することです。

その意味では、薬局連携は点数の有無だけで判断するものではありません。

医療機関としては、次のように考えるとよいと思います。

まず、すべての退院患者さんに同じレベルの情報提供を行う必要があるわけではありません。

薬剤変更が少ない患者さん。
退院後の薬がシンプルな患者さん。
本人の理解が十分で、かかりつけ薬局も把握している患者さん。

こうした場合は、通常の退院時指導とお薬手帳の記載で十分なこともあります。

一方で、入院前から薬が大きく変わった患者さん。
多剤服用の患者さん。
認知機能の低下がある患者さん。
施設に戻る患者さん。
退院後すぐに他院や薬局で継続管理が必要な患者さん。

こうした患者さんについては、薬局や退院後の関係先へ情報提供する必要性が高いと考えられます。

つまり、これからの実務では、
「情報提供するか、しないか」
を患者さんごとに判断する仕組みが必要です。

薬剤部だけで判断するのではなく、退院支援部門、病棟、医師、医事課と連携しながら、どの患者さんにどの情報をつなぐのかを整理しておくことが重要です。

例えば、退院時薬剤情報提供の対象候補として、次のような基準を院内で決めておくとよいと思います。

入院中に内服薬の中止・減量・変更があった患者。
6種類以上の内服薬がある患者。
副作用または相互作用のリスクが高い患者。
退院後に施設、訪問看護、在宅医療につながる患者。
認知症や理解力低下により服薬管理に支援が必要な患者。
退院後にかかりつけ薬局で継続的な確認が必要な患者。

このような基準があると、現場が迷いにくくなります。

第3回のポイントは、退院時薬剤情報連携加算が削除されても、薬局連携の重要性は下がっていないということです。

点数の形は変わりました。
でも、退院後の薬物療法を安全につなぐという目的は変わっていません。

むしろ、これからは「必要な患者に、必要な情報を、必要な相手へつなぐ」ことが求められます。

次回は、薬剤総合評価調整加算との関係を整理しながら、ポリファーマシー対策を退院後につなげる実務についてお話しします。

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