こんにちは。M&Cパートナーコンサルティング代表の村上佳子です。
第2回は、退院時薬剤情報管理指導料の基本的な算定要件を確認していきます。
令和8年度改定で注目度が高まっているとはいえ、まず大切なのは、基本要件をきちんと押さえることです。
退院時薬剤情報管理指導料は、退院時に薬の説明をしたら自動的に算定できる、というものではありません。
入院時から退院時までの一連の流れが必要です。
大きく分けると、次の4つの流れになります。
1つ目は、入院時に服薬中の医薬品等を確認することです。
患者さんが入院されたときに、現在飲んでいる薬を確認します。
お薬手帳、薬剤情報提供書、持参薬、患者さんやご家族からの聞き取りなどを通じて、入院前の薬の状況を把握します。
ここで注意したいのは、確認対象が処方薬だけとは限らないことです。
市販薬、サプリメント、健康食品などが治療に影響する場合もあります。
特に高齢の患者さんや複数の医療機関を受診している患者さんでは、重複投薬や相互作用の確認が重要になります。
2つ目は、入院中に使用した主な薬剤の情報を整理することです。
入院中に新しく開始した薬、変更した薬、中止した薬、副作用が疑われた薬などは、退院後の服薬管理に大きく関係します。
退院時には、患者さんやご家族が、
「退院後に何を飲むのか」
「入院前の薬と何が変わったのか」
「なぜ薬が変わったのか」
を理解している必要があります。
3つ目は、お薬手帳への記載です。
退院時薬剤情報管理指導料では、入院中に使用した主な薬剤の名称等について、お薬手帳に記載することが求められます。
ここは現場で漏れやすいポイントです。
退院処方の説明はしている。
薬袋も渡している。
患者さんにも説明している。
でも、お薬手帳への記載が不十分だった。
この場合、算定要件を満たしているかどうかが問題になります。
特に、退院時間が早い場合、休日退院の場合、薬剤師が直接関与しにくい病棟では、運用ルールを決めておくことが大切です。
4つ目は、退院時の患者さんまたはご家族への服薬指導と記録です。
退院後の薬の服用方法、注意点、副作用、飲み忘れた場合の対応、入院前からの変更点などを説明します。
そして、説明した内容を診療録等に記録します。
ここで大事なのは、
「説明しました」
だけでは弱いということです。
どの薬について、どのような指導をしたのか。
入院前から変更した薬は何か。
患者さんやご家族の理解状況はどうだったか。
退院後に薬局やかかりつけ医へ共有すべき情報はあるか。
こうした内容が、できるだけ具体的に記録されていることが望ましいです。
現場では、薬剤師が丁寧に対応していても、医事課側では算定できる状態かどうか分かりにくいことがあります。
そのため、院内で次のような確認項目を作っておくとよいと思います。
入院時の持参薬確認が済んでいるか。
お薬手帳への記載が済んでいるか。
退院時の服薬指導が済んでいるか。
診療録等への記録があるか。
退院日に算定できる患者か。
再入院など、算定対象外に該当しないか。
この確認を、薬剤部だけでなく医事課とも共有しておくことが重要です。
退院時薬剤情報管理指導料は、患者さんの退院日に1回限り算定する点数です。
つまり、退院してから後追いで確認しても、実務上は対応が難しくなることがあります。
だからこそ、退院予定が出た段階で、薬剤部に情報が届く仕組みが必要です。
例えば、退院予定患者リストに薬剤部確認欄を設ける。
退院前カンファレンスで薬剤確認が必要な患者を抽出する。
病棟クラークや看護師から薬剤部へ退院予定を共有する。
医事課が退院前日に算定候補者を確認する。
このように、退院日の直前ではなく、退院予定の段階から流れを作っておくと、算定漏れを防ぎやすくなります。
第2回のポイントは、退院時薬剤情報管理指導料は、退院時だけの点数ではないということです。
入院時の確認。
入院中の薬剤情報の整理。
お薬手帳への記載。
退院時指導。
記録。
医事課での算定確認。
この一連の流れがそろって、はじめて安定した算定につながります。
次回は、令和8年度改定で削除された退院時薬剤情報連携加算について、どう考えればよいのかを整理します。

