こんにちは。M&Cパートナーコンサルティング代表の村上佳子です。
第4回は、退院時薬剤情報管理指導料と薬剤総合評価調整加算との関係についてお話しします。
令和8年度改定を考えるうえで、退院時薬剤情報管理指導料だけを単独で見ると、少し分かりにくいところがあります。
大事なのは、ポリファーマシー対策や退院後の薬剤情報連携とセットで見ることです。
ポリファーマシーとは、単に薬の数が多いことではありません。
薬が多いことによって、副作用、相互作用、飲み間違い、服薬管理の負担などが生じている状態を指します。
高齢の患者さんでは、複数の医療機関から薬が出ていることもあります。
入院をきっかけに、薬を見直す機会が生まれます。
そのときに関係するのが、薬剤総合評価調整加算です。
薬剤総合評価調整加算は、入院中の患者さんについて、入院前に多くの内服薬が処方されていた場合などに、薬剤の内容を総合的に評価し、必要な見直しを行った場合に評価される項目です。
この加算は、退院時薬剤情報管理指導料と目的が重なる部分があります。
どちらも、退院後の安全な薬物療法につなげるという意味では同じ方向を向いています。
ただし、役割は少し違います。
退院時薬剤情報管理指導料は、退院時に患者さんやご家族へ服薬指導を行い、お薬手帳への記載などを通じて、退院後の服薬管理を支えるものです。
一方、薬剤総合評価調整加算は、薬そのものの内容を総合的に評価し、必要に応じて減薬や変更を行う、より踏み込んだ薬剤調整の評価です。
ここで重要なのは、入院中に薬を見直しただけでは終わらないということです。
たとえば、入院中に睡眠薬を中止したとします。
病院内では、ふらつきや転倒リスクを考えて中止した。
患者さんの状態も安定した。
退院時にも説明した。
しかし、その情報が退院後のかかりつけ医や薬局に伝わっていなければ、外来で以前の睡眠薬が再開されてしまう可能性があります。
これでは、入院中のポリファーマシー対策が退院後に途切れてしまいます。
同じように、降圧薬を減量した、糖尿病薬を変更した、抗精神病薬を整理した、胃薬を中止した、という場合にも、なぜ変更したのかが退院後に伝わらなければ、薬剤調整の意味が薄れてしまいます。
ですので、薬剤総合評価調整加算と退院時薬剤情報管理指導料は、別々の点数でありながら、実務では一連の流れとして考える必要があります。
院内で整理するときは、次のような流れが分かりやすいと思います。
まず、入院時に持参薬と服薬状況を確認する。
次に、医師と薬剤師が薬剤の必要性を評価する。
必要に応じて、薬の中止、減量、変更を行う。
退院時に、変更内容と理由を患者さんやご家族に説明する。
お薬手帳に必要な情報を記載する。
必要に応じて、退院後の医療機関、薬局、施設へ文書で情報提供する。
そして、その一連の記録を残す。
この流れができていれば、退院時薬剤情報管理指導料の算定だけでなく、薬剤総合評価調整加算の算定や、病棟薬剤業務実施加算の実績管理にもつながります。
逆に、この流れが院内で分断されていると、算定漏れや記録不足が起こります。
薬剤師は薬を見直している。
医師も処方を変更している。
看護師も退院説明をしている。
医事課も算定したいと思っている。
でも、それぞれの情報がつながっていない。
この状態では、せっかく実施している業務が、診療報酬上も、医療の質の面でも、十分に評価されにくくなります。
特に中小病院では、薬剤師の人数に限りがあります。
すべての退院患者さんに手厚く関与するのは難しいかもしれません。
だからこそ、優先順位を決めることが大切です。
ポリファーマシーの可能性が高い患者さん。
薬の変更が多い患者さん。
退院後に施設や在宅へ移行する患者さん。
認知症や独居などで服薬管理に支援が必要な患者さん。
副作用歴や相互作用リスクがある患者さん。
こうした患者さんを優先的に拾い上げ、薬剤師が関与できる体制をつくることが重要です。
第4回のポイントは、ポリファーマシー対策は退院時で終わらせてはいけないということです。
入院中に薬を整理する。
退院時に説明する。
退院後の関係先へ情報をつなぐ。
この3つがそろって、はじめて薬剤情報連携として機能します。
退院時薬剤情報管理指導料は、その出口の部分を支える重要な点数です。
次回は、病棟薬剤業務実施加算1との関係、とくに「退院患者の4割以上」という実績管理について整理していきます。

