こんにちは。M&Cパートナーコンサルティングの村上佳子です。
令和8年度診療報酬改定が6月1日からスタートし、医療機関の皆さまも、施設基準の届出、院内体制の確認、算定開始後の運用チェックに追われている時期かと思います。
そのような中で、令和8年6月17日に厚生労働省から「疑義解釈資料の送付について(その8)」が発出されました。今回の疑義解釈は、医科、医科・歯科共通、訪問看護療養費関係に分かれており、現場で迷いやすい論点がかなり実務的に整理されています。(厚生労働省)
疑義解釈というと、「細かいQ&Aでしょう」と思われる方もいるかもしれません。
でも、私はいつもお伝えしているのですが、疑義解釈は単なる補足資料ではありません。施設基準を届け出たあと、実際にどのように運用すればよいのかを確認するための、非常に重要な実務資料です。
今回の「その8」も、まさにそうです。
たとえば、電子的診療情報連携体制整備加算では、チャットやメーリングリストで情報共有していれば要件を満たすのか、という点が明確に否定されています。単なる連絡ツールではなく、検査結果、画像情報、投薬内容、注射内容、退院時要約などを電子的に共有・閲覧できるネットワークであることが必要です。
また、電子処方箋についても、HPKIカードの取得待ちの場合の取扱いが示されました。カード待ちであれば当面は要件を満たすとされていますが、取得後は速やかに運用開始日の登録を行い、実際に電子処方箋の発行、または引換番号付き紙処方箋による処方情報の登録を行う必要があります。
つまり、「準備中です」「システムは入っています」だけではなく、実際に運用できる状態になっているかが問われるということです。
さらに、身体的拘束最小化推進体制加算では、令和8年度中に新たに届け出る場合に限り、講習や委員会の開催予定日がわかる書類を添付すれば、届出から1年間は要件を満たしているものとみなしてよい、という取扱いが示されています。ただし、予定どおり開催されず要件を満たさなくなった場合には、直ちに届出を取り下げる必要があります。
ここも大切です。
「まだ委員会を開催していないから無理」とあきらめるのではなく、年間計画を立て、予定日を明確にし、届出書類として整えることが求められています。一方で、予定を立てただけで終わってしまうと、あとから問題になります。
今回の疑義解釈を読むと、令和8年度改定では、届出したかどうかだけでなく、届出後に運用できているか、記録を残しているか、期限管理ができているかが非常に重視されていることがわかります。
事務長や医事課の皆さまにお願いしたいのは、疑義解釈を「算定の可否だけを見る資料」として読まないことです。
むしろ、次のように読んでください。
「うちの病院では、誰が確認するのか」
「どの書類を残すのか」
「いつまでに届出するのか」
「委員会や研修の予定は立っているのか」
「契約書や説明書の内容は実態に合っているのか」
このように、院内の実務に落とし込んでいくことが重要です。
特に今回は、医療DX、身体的拘束、回復期リハビリテーション、心不全、在宅医療、精神科、訪問看護など、非常に幅広い内容が含まれています。全部を一度に完璧に理解しようとすると大変です。
ですので、この連載では、疑義解釈その8を6回に分けて、現場で確認すべきポイントを整理していきます。
今回のポイントは、次の一言に尽きます。
疑義解釈は、施設基準を“届け出るため”だけでなく、届け出たあとに“安全に運用し続けるため”に読むものです。
まずは、自院に関係する項目を洗い出し、担当部署と期限を一覧化するところから始めてみてください。

