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HOSPITALITY 〜長先生の接遇レッスン〜 VOL.91「感情に向き合う接遇 前半」

 

新年度が始まって2か月。業務にも少しずつ慣れてくる一方で、疲れや余裕のなさが、表情や言動に現れやすくなる時期でもあります。

5月は「見えない疲れ」に目を向けましたが、6月はそれが言葉や態度として表に出てくる段階ともいえます。

  • ちょっとした行き違い
  • 説明の不足
  • 忙しさによる対応のばらつき

こうしたことがきっかけとなり、患者さんの不満や不安が「クレーム」という形で表れることも少なくありません。今回は、クレーム対応力について考えていきましょう。

■ クレームは「特別な出来事」ではない

クレームという言葉には、どこか身構えてしまう印象があります。しかし実際には、その多くが「不安」や「期待とのズレ」から生じています。

  • 思ったより待ち時間が長い
  • 説明が十分に伝わっていない
  • 職員の表情が気になった

ほんの小さな違和感が積み重なった結果として、言葉に出てくるのです。

クレームは、患者さん側から見た「困っているサイン」ともいえます。
対応の基本は、まず「相手の感情を受け止め」、「最後まで話を聴くこと」です。
■ 「正しさ」よりも「受け止め方」

クレーム対応というと、正しい説明をすること・誤りを訂正することに意識が向きがちです。もちろんそれも重要ですが、実際の現場では、かえって感情を強めてしまうことがあります。

正しいことを「どう伝えるか」より、まず困っていることや感情を「どう受け止めるか」が、その後の関係性を大きく左右します。

ご不安なお気持ちになりますよね

お待たせして申し訳ありません

こうした一言が入るだけで、相手の表情が和らぐことも少なくありません。

■ 忙しい時ほど起きやすい「すれ違い」

現場が忙しいときほど、スタッフの表情は硬くなり、早口になりがちです。しかしその変化は、患者さんにとっては「冷たい対応」「急かされている」といった印象に変わってしまいます。

スタッフに悪気がなくても、「余裕のなさ」はそのまま伝わります。
その結果、患者さんにとって居づらい空気を生んでしまうことも。

そうすると、「まだかしら」「忘れているんじゃないの?」「いったいどうなっているの?」と、負のスパイラルに陥ってしまいます。

→ 後半へ続く(■「一人で対応させない」仕組み 〜 ■まとめ)

長 幸美(ちょう ゆきみ)

(株)M&Cパートナーコンサルティング パートナー
(株)佐々木総研 医業経営コンサルティング部 シニアコンサルタント
20数年の医療機関勤務の経験を活かし、「経営のよろず相談屋」として、医療・介護の専門職として、内部分析・コンサルティングに従事。