こんにちは。M&Cパートナーコンサルティング代表の村上佳子です。
今回は、在宅医療における薬剤管理についてお話しします。
在宅医療の現場で、意外と大きな問題になるのが「薬」です。
薬が余っている。
飲み忘れが多い。
同じような薬が複数の医療機関から出ている。
本人は飲んでいるつもりでも、実際には飲めていない。
家族も、どの薬が何の薬なのかわからなくなっている。
こういうことは、在宅医療の現場では珍しくありません。
今回の改定では、この薬の問題にかなり踏み込んでいます。
まず注目したいのが、医師と薬剤師の同時訪問の評価です。
新たに「訪問診療薬剤師同時指導料」が設けられました。これは、訪問診療を行う医師と、訪問薬剤管理指導等を行う薬剤師が、患者さんの同意を得たうえで同時に患家を訪問し、処方の調整など必要な対応を共同して行った場合に評価されるものです。医科では6月に1回300点、調剤側でも「訪問薬剤管理医師同時指導料」が6月に1回150点として示されています。
この評価の意味は大きいです。
これまでも、医師と薬剤師が連携することは大切だと言われてきました。
でも、実際には、医師は診察して処方を出す。
薬剤師は後から訪問して薬を確認する。
その結果、薬の問題が見つかっても、処方変更まで時間がかかる。
こういうことがありました。
同時訪問では、患者さんの生活の場で、医師と薬剤師が一緒に薬を見ます。
残薬の量。
服薬状況。
副作用の兆候。
剤形や用法が本人に合っているか。
飲み忘れが起きにくい形になっているか。
こうした点を、患家で協議し、必要に応じて医師が処方設計を見直し、薬剤師が即応的な薬学的支援を行うことが求められています。処方変更がない場合でも算定できること、共同して行った指導内容や処方薬調整の要点を診療録に記載することも示されています。
さらに、在医総管・施設総管でも、残薬確認が要件化されています。
診療の際、患家における残薬の状況を患者さんや家族から聴取し、その状況に応じて適切な服薬管理や処方内容の調整を行うことが求められます。担当医の指示を受けた看護職員等が情報把握を行うことも可能とされています。
ここで大事なのは、「残薬を聞いたかどうか」だけではありません。
聞いた結果、どう判断したのか。
処方を減らしたのか。
一包化を検討したのか。
薬局に情報提供したのか。
他院処方との重複を確認したのか。
ここまで含めて、服薬管理です。
また、処方箋様式の見直しも行われます。保険薬局が調剤時に残薬を確認した場合、調剤する薬剤を減量したうえで保険医療機関に情報提供することも、保険医療機関が指示できるように見直されます。
これは、薬局との連携を実務に落とし込むうえで、とても重要です。
院長先生、事務長さんは、在宅患者さんの薬剤管理について、次のような運用を整えておくとよいと思います。
訪問診療時に残薬確認をする。
確認した内容を診療録に残す。
薬局からの残薬情報を受ける窓口を決める。
必要に応じて、医師と薬剤師の同時訪問を検討する。
処方変更や減量のルールを院内で共有する。
在宅医療では、薬は「処方して終わり」ではありません。
患者さんの家で、実際に飲めているか。
余っていないか。
生活に合っているか。
副作用が出ていないか。
ここまで見ることが、今回の改定でより強く求められています。
在宅の薬剤管理は、医師だけでも、薬剤師だけでも完結しません。
医療機関と薬局が、患者さんの生活の場を一緒に見る。
今回の改定は、その方向を後押ししていると考えていただくとよいと思います。

