こんにちは。M&Cパートナーコンサルティング代表の村上佳子です。
今回は、令和8年度診療報酬改定の中から、オンライン診療と電子処方箋まわりの見直しについてお話しします。
オンライン診療というと、これまでは「患者さんが来院しなくても診療できる」「通院負担を減らせる」といった利便性の面が注目されてきました。
もちろん、それは今でも大切です。
特に、慢性疾患で状態が安定している患者さん、仕事や家庭の事情で通院しにくい患者さん、遠方に住んでいる患者さんにとって、オンライン診療は大きな選択肢になります。
ただ、令和8年度改定で見えてくるのは、オンライン診療を単なる“診察方法の一つ”としてではなく、処方まで含めて安全に完結させる仕組みとして整えていく方向性です。
今回のポイントは、大きく二つあります。
一つ目は、オンライン診療の施設基準がより具体的になったことです。
情報通信機器を用いた診療を行う医療機関について、オンライン診療指針の遵守状況を確認するチェックリストの掲示、医療広告ガイドラインの遵守、向精神薬を処方する場合の重複投薬等チェックなどが求められるようになります。
つまり、「オンライン診療をやっています」と言うだけでは不十分で、患者さんから見ても、行政から見ても、適切な体制で実施していることがわかる状態にしておく必要があります。
二つ目は、電子処方箋との連動です。
オンライン診療では、患者さんが医療機関に来院しません。そのため、紙の処方箋の受け渡しや郵送、薬局との連携がどうしても課題になります。
そこで今回、オンライン診療で電子処方箋を活用し、薬剤情報を確認し、重複投薬等チェックを行ったうえで電子処方箋を発行する場合に、新たに評価が設けられました。
これが、遠隔電子処方箋活用加算です。
点数だけを見ると10点ですので、「大きな収入増」というよりも、国がオンライン診療と電子処方箋をセットで進めたいというメッセージとして見るべきだと思います。
先生方にまず押さえていただきたいのは、今回の改定は「オンライン診療を増やしましょう」という単純な話ではないということです。
むしろ、オンライン診療を行うのであれば、薬剤情報の確認、重複投薬等チェック、薬局との連携、患者さんへの説明まで含めて、対面診療と同じ、あるいはそれ以上に丁寧な運用が求められるということです。
院長先生としては、まず自院でオンライン診療をどう位置づけるのかを考える必要があります。
生活習慣病の定期フォローに使うのか。
在宅患者さんの一部に使うのか。
一時的な受診困難時の選択肢として使うのか。
それとも、今は積極的には使わず、将来に向けて体制だけ確認しておくのか。
いずれにしても、令和8年度改定を機に、オンライン診療は「便利だからやるもの」から、「安全に運用できる体制があるから実施するもの」へと変わってきています。
次回は、オンライン診療の施設基準について、ホームページ掲示やチェックリスト、医療広告の注意点を中心に、もう少し具体的に見ていきます。

