こんにちは。M&Cパートナーコンサルティング代表の村上佳子です。
第5回は、薬局からの疑義照会や処方変更照会への対応についてお話しします。
院外処方のクリニックでは、薬局からの電話やFAXが日常的に入ります。
「この薬が出荷調整で入らないので、同じ成分の別メーカーに変更してよいですか」
「規格が入らないので、半量規格を2錠にしてよいですか」
「患者さんが残薬を持っているので、日数を減らしてよいですか」
「湿布の枚数を確認したいです」
こうした照会は、患者さんの安全を守るために必要なものです。
ただ、照会が多すぎると、クリニックの診療が止まります。受付スタッフも、看護師も、医師も、薬局対応に追われることになります。
令和8年度改定では、医薬品の供給不足が続く状況を踏まえ、医薬品の安定供給に資する体制が重視されています。診療所についても、医薬品の供給が不足した場合に、医薬品の処方等の変更等に関して適切な対応ができる体制を整備し、投与する薬剤が変更となる可能性や、変更時には患者へ十分に説明することを掲示することが施設基準上の項目として示されています。
院外処方クリニックでも、この考え方は非常に重要です。
自院で薬を渡していなくても、処方箋を出しているのはクリニックです。
薬局で薬が不足したときに、どこまで薬局判断で対応してよいのか。どこから医師確認が必要なのか。患者さんへの説明は誰が行うのか。こうしたルールを決めておく必要があります。
まず、照会を3つに分けて考えると整理しやすくなります。
1つ目は、必ず医師に確認すべきものです。
薬剤の成分を変更する場合、効能・効果や適応が変わる可能性がある場合、用法・用量が変わる場合、副作用歴や禁忌に関係する場合などです。
これは、薬局から照会があれば、医師が判断する必要があります。
2つ目は、事前に薬局と合意しておけば、一定の範囲で対応しやすいものです。
たとえば、同一成分・同一用量の別銘柄への変更、包装単位や規格の都合による調整、残薬確認に基づく日数調整などです。
もちろん、すべてを薬局任せにするという意味ではありません。
あらかじめ「この範囲なら事後報告でよい」「この場合は必ず照会してください」というルールを、薬局と共有しておくことが大切です。
3つ目は、患者さんへの説明を丁寧に行うべきものです。
薬の名前や見た目が変わる場合、患者さんは不安になります。
「先生が出した薬と違う」と感じることもあります。
このとき、薬局だけで説明するのではなく、クリニック側でも同じ説明ができるようにしておく必要があります。
受付で聞かれたときに、
「供給状況により、同じ成分のお薬でもメーカーや名称が変わることがあります。薬局で説明がありますので、不安な点があれば医師にもご相談ください」
と伝えられるだけでも、患者さんの受け止め方は変わります。
薬局連携で大事なのは、特定の薬局だけと深くつながることではありません。
患者さんがどの薬局を選んでも、安全に薬物治療が継続できるよう、地域の薬局と基本的な考え方を共有することです。
特に門前薬局や近隣薬局とは、照会が多い薬、供給不足が起きやすい薬、患者さんから質問が多い薬について、定期的に情報交換しておくとよいでしょう。
また、院内では、薬局からの照会窓口を明確にしてください。
電話は誰が受けるのか。
FAXや電子的な情報提供はどこで確認するのか。
医師に確認した内容は、どのようにカルテに残すのか。
薬局へ回答した内容を、次回診察時に確認できる状態になっているか。
ここまで整えて、初めて「薬局連携」と言えます。
疑義照会や処方変更照会は、面倒な電話ではありません。
患者さんに薬を安全に届けるための確認作業です。
ただし、その確認作業が現場の負担になりすぎないように、院内ルールと薬局との合意を整えることが、令和8年改定後の院外処方クリニックには求められます。
次回は、院長先生・事務長さん向けに、実務チェックリストとして整理します。

