こんにちは。M&Cパートナーコンサルティング代表の村上佳子です。
今回は、令和8年度診療報酬改定で新設された「急性期病院B一般入院料」についてお話しします。
200床未満の病院にとって、この急性期病院Bは気になる項目です。
なぜなら、急性期病院Aは、救急搬送2,000件以上かつ全身麻酔手術1,200件以上という、かなり高い実績が求められます。これは多くの中小病院にとって、現実的にはハードルが高いと思います。
一方、急性期病院Bは、急性期病院Aよりも少し幅を持たせた設計になっています。
具体的には、急性期病院Bでは、第二次救急医療機関、救急病院、または24時間救急患者を受け入れている医療機関であることが求められます。そのうえで、急性期医療の実績として、年間救急搬送1,500件以上、年間救急搬送500件以上かつ全身麻酔手術500件以上、人口20万人未満の二次医療圏で最大の救急搬送件数を持ち年間1,000件以上、離島医療圏で最大の救急搬送件数、などのいずれかを満たす必要があります。
ここで、200床未満病院がまず見るべきなのは、自院の救急搬送件数です。
「うちは救急をやっています」という感覚だけでは不十分です。
年間で何件の救急搬送を受けているのか。
そのうち夜間、つまり22時から翌朝8時までの受入れがどのくらいあるのか。
病棟別に見ると、どの病棟に救急搬送患者が入院しているのか。
ここを数字で確認する必要があります。
特に、地方の200床未満病院では、地域の救急を実質的に支えているにもかかわらず、院内でその実績を十分に見える化できていないことがあります。
救急車は受けている。
高齢者施設からの搬送も受けている。
夜間も当番医やオンコールで何とか対応している。
しかし、診療報酬改定への対応という意味では、それを「数字」と「体制」として説明できなければいけません。
もう一つのポイントは、全身麻酔手術件数です。
年間救急搬送500件以上かつ全身麻酔手術500件以上という要件を満たす病院であれば、急性期病院Bの候補になります。
整形外科、外科、脳神経外科などで一定の手術機能を持ち、かつ救急も受けている病院は、一度しっかり確認すべきです。
ただし、急性期病院Bは、救急と手術の件数だけで判断できるものではありません。
重症度、医療・看護必要度の該当患者割合指数、平均在院日数、医師配置、データ提出加算、DPC対象病院であることなど、複数の施設基準が関係します。厚労省資料では、急性期病院Bの看護配置は10対1以上、平均在院日数は21日以内、点数は1,643点と整理されています。
ここで、200床未満病院の事務長さんにぜひ見ていただきたいのは、「今の届出区分」だけではありません。
自院が地域の中でどの立ち位置にあるかです。
たとえば、地域の大病院が高度急性期に寄っていく中で、自院が高齢者救急、軽中等症救急、術後管理、在宅・施設からの急変受入れを担っているケースがあります。
このような病院は、単純に「うちは中小病院だから急性期病院Bは無理」と決めつけないほうがよいです。
反対に、救急搬送件数や手術件数が要件に届かない病院が、無理に急性期病院Bを目指す必要もありません。
急性期病院Bは、あくまで病院全体として一定の急性期実績がある病院の評価です。
実績が不足しているのに形だけ合わせようとすると、現場に無理が出ます。
このような病院では、むしろ急性期一般入院料4と看護・多職種協働加算の組み合わせを検討したほうが現実的な場合があります。
ここで大事なのは、経営判断の順番です。
まず、自院の救急搬送件数、夜間救急の割合、全身麻酔手術件数、DPC対象病院かどうか、地域包括医療病棟や地域包括ケア病棟との関係を確認する。
次に、急性期病院Bの施設基準に届く可能性があるかを確認する。
そのうえで、急性期病院Bを目指すのか、急性期一般入院料4を維持・強化するのか、あるいは地域包括医療病棟や地域包括ケア病棟との組み合わせを考えるのかを検討します。
令和8年度改定は、急性期病院に対して「実績を見せてください」と求めています。
その意味では、救急搬送件数や手術件数は、単なる届出資料ではありません。
地域の中で自院が果たしている役割を示す経営資料でもあります。
200床未満病院では、院長先生、看護部長、事務長、医事課、地域連携室が一緒になって、自院の急性期実績を確認することが大切です。
急性期病院Bを取るかどうかは、その先の判断です。
まずは、自院の実績を正しく把握する。
そこから始めていただきたいと思います。
次回は、より多くの200床未満病院にとって現実的な選択肢となり得る、急性期一般入院料4と看護・多職種協働加算の組み合わせについてお話しします。

