こんにちは。M&Cパートナーコンサルティング代表の村上佳子です。
今回から5回にわたって、令和8年度診療報酬改定における「急性期病院一般入院料」と「看護・多職種協働加算」について、200床未満の病院向けに整理していきます。
今回の改定は、急性期病院にとってかなり大きな意味があります。
これまで急性期入院料というと、どうしても「7対1か、10対1か」「急性期一般入院料1を取れるか」といった、看護配置や重症度、医療・看護必要度を中心に考えることが多かったと思います。
もちろん、それは今後も重要です。
ただ、令和8年度改定では、それに加えて、病院全体としてどのような急性期機能を担っているのかが、より強く見られるようになりました。
具体的には、新たに「急性期病院一般入院基本料」が設けられました。区分としては、急性期病院A一般入院料と、急性期病院B一般入院料があります。厚生労働省の資料では、急性期病院Aは1,930点、急性期病院Bは1,643点とされています。急性期病院Bや急性期一般入院料4では、看護・多職種協働加算の対象にもなります。
では、この改定は200床未満の病院に関係があるのでしょうか。
私は、かなり関係があると思っています。
ただし、「すべての200床未満病院が急性期病院Bを目指しましょう」という話ではありません。
むしろ大事なのは、自院が地域の中でどの急性期機能を担っているのか、そしてその機能を診療報酬上どう評価してもらうのかを、改めて整理することです。
急性期病院B一般入院料では、救急搬送件数や全身麻酔手術件数など、かなり明確な実績要件が置かれています。たとえば、年間救急搬送1,500件以上、または年間救急搬送500件以上かつ全身麻酔手術500件以上などです。さらに、人口20万人未満の二次医療圏で最大の救急搬送件数を持ち、年間1,000件以上である場合なども要件に入っています。
これは、都市部の大病院だけではなく、地方で地域救急を支えている中小病院も意識した設計と見ることができます。
一方で、救急搬送件数や手術件数がそこまで多くない病院にとっては、急性期病院Bは現実的ではないかもしれません。
その場合に注目したいのが、急性期一般入院料4と看護・多職種協働加算の組み合わせです。
看護・多職種協働加算は、急性期一般入院料4を算定する病棟の場合は277点、急性期病院B一般入院料を算定する病棟の場合は255点です。地域の急性期医療を担う病院で、患者さんの早期退院やADLの維持・向上を目的として、看護職員を含む多職種が病棟で協働する体制を評価する加算です。
ここで大切なのは、この加算が単なる「人員配置加算」ではないということです。
看護師を増やせば取れる、リハ職を病棟に置けば取れる、という単純な話ではありません。
入院早期から、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、管理栄養士、臨床検査技師などが病棟で協働し、患者さんのADL低下を防ぎ、食事や栄養、検査、退院支援まで含めて、病棟運営を組み替えることが求められます。
200床未満の病院では、職員数に余裕があるわけではありません。
むしろ、限られた人員の中で、看護師が何でも抱え込んでいる病院が多いと思います。
だからこそ、この加算は「看護師をさらに忙しくする加算」ではなく、「看護師だけで抱え込んでいた病棟業務を、多職種で見直す加算」と考えるべきです。
たとえば、入院直後からリハ職が生活場面で動作を確認する。
管理栄養士が病棟で実際の食事摂取状況を見て、食形態や栄養量を調整する。
臨床検査技師が検査の実施や異常値報告を円滑にし、医師・看護師の判断を支える。
このような動きが病棟の中で日常的に行われるようになると、患者さんの退院までの流れが変わります。
今回の改定は、単に点数が増える、減るという話ではありません。
200床未満病院に対して、「地域急性期として、何を担いますか」「救急をどこまで受けますか」「高齢急性期患者のADL低下をどう防ぎますか」「看護師だけに頼らない病棟運営をどう作りますか」と問いかけている改定だと思います。
まず第1回では、全体像を押さえました。
次回は、急性期病院B一般入院料について、200床未満病院が本当に狙えるのか、どのような病院が対象になりやすいのかを整理していきます。

