こんにちは。M&Cパートナーコンサルティング代表の村上佳子です。
最終回は、院内トリアージ実施体制加算について、院長先生、事務長さんが確認すべきポイントを整理します。
今回の改定は、点数だけを見ると50点です。
そのため、「大きな収益項目ではない」と感じるかもしれません。
しかし、200床未満の病院にとっては、救急外来の運用を見直すよい機会です。
特に、夜間・休日・深夜の救急外来を行っている病院では、院内トリアージの体制が整っているかを確認しておく必要があります。
まず1つ目は、自院が対象となる診療料を算定しているかです。
院内トリアージ実施体制加算は、救急外来医学管理料、地域連携小児夜間・休日診療料、地域連携夜間・休日診療料との関係で算定する加算です。
自院がどの診療料を算定しているのか。
夜間休日救急の届出状況はどうなっているのか。
救急外来医学管理料の新設・再編に対して、どの区分を目指すのか。
ここを医事課だけでなく、院長、事務長も確認してください。
2つ目は、届出です。
施設基準に適合しているものとして、地方厚生局長等に届け出た保険医療機関で算定する加算です。
したがって、体制があるだけではなく、届出が必要になります。
届出書類、添付資料、院内トリアージの実施基準、掲示文、専任者の確認資料など、何が必要になるかを早めに確認してください。
3つ目は、院内トリアージの実施基準です。
ここには、トリアージ目標開始時間、再評価時間、トリアージ分類、トリアージの流れを含める必要があります。
事務長さんは、マニュアルの有無だけでなく、現場で使える内容かどうかを確認してください。
救急外来の受付から診察までの流れが書かれているか。
再評価のタイミングが明確か。
誰がトリアージを行うのか。
医師への報告基準があるか。
受付職員が看護師へ連絡する基準があるか。
このあたりを見ていきます。
4つ目は、職員配置です。
専任の医師、または救急医療に関する3年以上の経験を有する専任の看護師が配置されていることが求められています。
対象者が誰か。
経験年数をどう確認するか。
勤務表上、対象時間帯に配置されているか。
救急外来医学管理料に係る専任者と兼務する場合、その整理はできているか。
ここを確認してください。
特に、夜間や休日は勤務体制が変わります。
平日の日中だけ見て「大丈夫」と判断しないようにしてください。
5つ目は、患者説明、院内掲示、ホームページ掲載です。
院内の見やすい場所に掲示しているか。
救急外来の入口や待合で見えるか。
ホームページに掲載しているか。
受付職員が説明できるか。
掲示文とホームページの内容が一致しているか。
ここも重要です。
掲示は、施設基準対応であると同時に、患者さんとのトラブルを防ぐための実務です。
6つ目は、記録です。
今回の加算は体制加算ですが、救急外来でどのようにトリアージを行ったか、院内で確認できる記録の仕組みは必要です。
トリアージ分類をどこに記録するのか。
再評価を行った場合、どこに記録するのか。
医師への報告や診療順の変更があった場合、どのように残すのか。
電子カルテ、紙の救急外来票、看護記録、受付メモなど、実際の運用に合わせて整理してください。
記録が複雑すぎると、現場は続きません。
一方で、何も残らないと、後で説明できません。
このバランスが大切です。
7つ目は、収支です。
50点の加算ですから、この加算だけで大きな収益改善を期待するのは現実的ではありません。
ただし、対象患者数が一定数ある病院では、積み上げれば一定の収入になります。
また、収益だけでなく、救急外来の安全管理、患者説明、職員の役割分担、返還リスクの低減という意味でも価値があります。
事務長さんには、ぜひ対象患者数を試算していただきたいです。
月に何人くらい対象になりそうか。
年間でどの程度の算定になるか。
届出や体制整備にどのくらいの手間がかかるか。
院内掲示やホームページ修正は誰が行うか。
マニュアル整備や職員周知はいつ行うか。
このように、実務と収支をセットで見てください。
最後に、院長先生と事務長さんにお伝えしたいのは、院内トリアージ実施体制加算は「50点を取るためだけの加算」ではないということです。
地域の患者さんが、夜間や休日に不安を抱えて来院する。
そのときに、病院として安全に受け止める仕組みがあるか。
重症の患者さんを見落とさない体制があるか。
待っている患者さんに納得してもらえる説明ができているか。
このことが問われています。
200床未満の病院は、地域の救急を支える大切な存在です。
大病院ほどの人員や設備がなくても、地域の患者さんにとっては「困ったときに頼れる病院」です。
だからこそ、今回の改定をきっかけに、救急外来の流れを見直していただきたいと思います。
まずは、次の項目を確認してください。
自院の対象診療料。
届出の要否。
院内トリアージ実施基準。
専任医師または経験ある看護師の配置。
受付から診察までの流れ。
再評価の方法。
院内掲示とホームページ掲載。
職員への周知。
記録方法。
対象患者数と収支。
このチェックを行うだけでも、院内の課題が見えてきます。
院内トリアージ実施体制加算は、小さな点数に見えて、救急外来の運用を整える大きなきっかけになります。
ぜひ、院長先生、事務長さん、看護部、医事課で一緒に確認してみてください。

