こんにちは。M&Cパートナーコンサルティング代表の村上佳子です。
第4回は、院内トリアージを誰が担うのか、という話です。
今回の院内トリアージ実施体制加算では、施設基準として、専任の医師、または救急医療に関する3年以上の経験を有する専任の看護師が配置されていることが示されています。
また、この専任の医師または看護師は、救急外来医学管理料に係る専任の医師または看護師を兼ねることができるとされています。
ここは、200床未満の病院にとって非常に重要です。
人員に余裕がある病院ばかりではありません。
夜間や休日の救急外来では、限られた医師、限られた看護師で対応している病院が多いと思います。
その中で、「専任」と聞くと、専属で1人置かなければならないのか、と不安になるかもしれません。
実際の運用では、通知や届出様式を確認しながら判断する必要がありますが、少なくとも考え方としては、「院内トリアージを担う責任者、または担当者を明確にする」ことが重要です。
誰がトリアージを行うのか。
その人は救急医療の経験を満たしているのか。
勤務表上、対象時間帯に配置されているのか。
救急外来の実際の流れの中で、患者さんの状態確認ができるのか。
このあたりを確認してください。
特に看護師さんが担う場合は、経験年数の確認が必要です。
「看護師なら誰でもよい」というわけではありません。
救急医療に関する3年以上の経験を有する専任の看護師、という点が示されています。
この経験をどのように確認し、院内でどう記録しておくかも大切です。
履歴書や職務経歴、配属歴、救急外来での勤務実績などを確認し、届出や監査時に説明できるようにしておく必要があります。
また、院内で複数名が対象になる場合は、誰がどの時間帯を担当するのか、勤務表や役割表で分かるようにしておくとよいです。
ここで注意したいのは、現場任せにしすぎないことです。
「夜勤看護師が適当に判断している」
「ベテランがいる日は大丈夫」
「忙しいときはその場で何とかしている」
このような運用では、体制として弱いです。
もちろん、現場の経験はとても大事です。
しかし、診療報酬上の評価を受ける以上、個人の経験だけでなく、病院としての仕組みにしておく必要があります。
医師との連携も重要です。
看護師がトリアージを行った結果、緊急度が高いと判断した場合、どのように医師へ報告するのか。
医師が診察中だった場合、どのように割り込むのか。
救急搬送患者の対応中に、ウォークイン患者の状態が悪化した場合、誰がどう判断するのか。
このような場面を想定しておく必要があります。
200床未満の病院では、医師が1人で救急外来を見ている時間帯もあると思います。
その場合、看護師の初期判断と医師への報告ルールがとても大切になります。
「先生が忙しそうだから後で言おう」ではなく、緊急度が高い場合は、すぐ報告する。
逆に、すぐに診察できない場合でも、医師と看護師が情報を共有し、待機中の再評価を行う。
こうした動きが必要です。
医事課や受付職員との連携も忘れてはいけません。
患者さんは、まず受付に来ます。
受付での言葉や様子から、危険なサインに気づくこともあります。
例えば、「胸が締めつけられる」「息が苦しい」「意識がぼんやりしている」「ろれつが回らない」「強い頭痛が突然出た」「子どもがぐったりしている」などです。
受付職員が医学的判断をする必要はありません。
ただし、こうした訴えがあれば、すぐ看護師に伝えるというルールを作ることはできます。
これだけでも、院内トリアージの流れは大きく改善します。
院内トリアージは、専任医師や専任看護師だけの仕事ではありません。
もちろん、緊急度の判断を行う中心は医療職です。
しかし、その前後には受付、医事課、検査、放射線、警備、夜間事務など、さまざまな職種が関わります。
ですから、研修や周知も必要です。
難しい医学知識を全職員に教える必要はありません。
まずは、「受付順ではなく緊急度順になる場合があること」
「危険な訴えがあれば看護師にすぐ伝えること」
「待っている患者さんの状態変化に気づいたら報告すること」
この3つを共有するだけでも、現場は変わります。
事務長さんは、ぜひ勤務表と実際の動きを見比べてください。
届出上は専任者がいる。
でも、実際にはその時間帯に別業務で手が離せない。
救急外来に近い場所にいない。
受付から連絡が届かない。
こうしたズレがないかを確認することが大切です。
院内トリアージ実施体制加算は、「誰かを配置して終わり」ではありません。
その人が、実際に院内トリアージを担える流れになっているか。
そこまで確認して、初めて体制が整っていると言えます。

