あなたが現在見ているのは 院内トリアージ実施体制加算とは何か――300点の実施料から50点の体制加算へ(第1回/全6回)

院内トリアージ実施体制加算とは何か――300点の実施料から50点の体制加算へ(第1回/全6回)

→目次に戻る

こんにちは。M&Cパートナーコンサルティング代表の村上佳子です。

今回は、令和8年度診療報酬改定で見直される「院内トリアージ実施体制加算」についてお話しします。

このテーマは、救急外来を行っている200床未満の病院にとって、かなり実務的な影響がある改定です。

まず押さえておきたいのは、これまでの「院内トリアージ実施料」が廃止され、新しく「院内トリアージ実施体制加算」が設けられるという点です。

これまでの院内トリアージ実施料は、トリアージを実施した患者さんに対する評価でした。点数は300点です。

一方で、今回新設される院内トリアージ実施体制加算は50点です。

ここだけを見ると、「300点が50点になるのか」「かなり下がるのではないか」と感じるかもしれません。

ただ、今回の改定は、単純に点数が下がったという話ではありません。

評価の考え方が変わった、と見る必要があります。

従来は、患者さんごとに「トリアージを実施したかどうか」が評価されていました。

今回の改定では、救急外来で院内トリアージを実施できる体制が整っているかどうかを評価する形に変わります。

つまり、個別の行為の評価から、院内の仕組みの評価へ移ったということです。

200床未満の病院では、夜間や休日に、救急車ではなく自分で来院される患者さんが少なくありません。

発熱、腹痛、けが、めまい、息苦しさ、子どもの急な症状など、訴えはさまざまです。

その中には、すぐ診るべき患者さんもいれば、少し待ってもらえる患者さんもいます。

受付順だけで診てしまうと、本当に危険な患者さんを見落とす可能性があります。

だからこそ、救急外来では「誰を先に診るべきか」を判断する仕組みが必要になります。

これが院内トリアージです。

院内トリアージは、単に「順番を入れ替えること」ではありません。

患者さんの状態を確認し、緊急度を判断し、診療の優先順位を決める仕組みです。

そして、必要に応じて再評価を行うことも大切です。

最初は軽そうに見えても、待っている間に状態が悪くなることがあります。

反対に、強い不安を訴えていても、医学的には緊急性が高くない場合もあります。

この判断を、個人の経験だけに頼るのではなく、院内の基準として整えておくことが求められています。

今回の改定では、院内トリアージの実施基準を定め、定期的に見直すことが施設基準として示されています。

ですから、単に「看護師が見ています」「昔から救急外来で判断しています」というだけでは足りません。

目標開始時間はどうするのか。

再評価はいつ行うのか。

トリアージ分類はどうするのか。

受付から診察までの流れをどう整理するのか。

こうしたことを、病院として決めておく必要があります。

200床未満の病院にとって大事なのは、この加算を「50点だから小さい」と見ないことです。

救急外来の安全性、患者説明、職員の役割分担、クレーム防止、届出管理を整えるきっかけとして考えるべきです。

救急外来は、病院の地域での信頼に直結します。

夜間や休日に受診した患者さんは、病院の対応をよく覚えています。

「受付順ではなく、状態に応じて診療順が変わることがあります」と丁寧に説明されているかどうか。

待っている患者さんの状態を、誰がどのタイミングで確認するのか。

医師、看護師、医事課が同じ認識を持っているか。

このあたりが、これからより重要になります。

院内トリアージ実施体制加算は、点数だけを見ると大きな収益項目には見えないかもしれません。

しかし、救急外来の運用を見直す入口としては、とても大事な改定です。

まずは、自院の夜間・休日救急の流れを紙に書き出してみてください。

誰が受付するのか。

誰が最初に患者さんの状態を見るのか。

どのような患者さんを優先するのか。

待っている患者さんを再確認する仕組みはあるのか。

この確認から始めることが、今回の改定対応の第一歩になります。

→目次に戻る