あなたが現在見ているのは 算定対象はどの患者か――救急搬送ではなく、時間外・休日・深夜のウォークイン患者をどう見るか(第2回/全6回)

算定対象はどの患者か――救急搬送ではなく、時間外・休日・深夜のウォークイン患者をどう見るか(第2回/全6回)

→目次に戻る

こんにちは。M&Cパートナーコンサルティング代表の村上佳子です。

第2回は、院内トリアージ実施体制加算の対象患者についてお話しします。

この加算を見るときに、最初に確認しておきたいのは、「救急外来に来た患者さん全員が対象になるわけではない」ということです。

令和8年度改定では、院内トリアージ実施体制加算は、救急外来医学管理料、地域連携小児夜間・休日診療料、地域連携夜間・休日診療料を算定する患者さんについて、施設基準を満たして届け出た医療機関で加算するものとされています。

そして、ポイントになるのが、時間外、休日、深夜に受診した患者さんのうち、救急用の自動車等で緊急に搬送された患者さんは除かれる、という点です。

つまり、主に意識したいのは、救急車ではなく、自分で来院される患者さんです。

いわゆるウォークインの救急患者さんです。

200床未満の病院では、このウォークイン対応がとても難しいところです。

救急車で来る患者さんは、到着前から救急隊との連絡があり、ある程度の情報が入ります。

もちろん救急搬送の対応は大変ですが、病院側も「救急対応」として構えやすい面があります。

一方で、ウォークインの患者さんは、突然来院されます。

受付で「お腹が痛いです」「熱があります」「胸が苦しいです」「子どもが泣き止みません」と言われても、その時点では重症かどうか分かりません。

受付職員だけでは、医学的な緊急度を判断することは難しいです。

ここに、院内トリアージの意味があります。

時間外や休日の救急外来では、受付順で診ることが一番公平に見えるかもしれません。

しかし、医療の安全性から考えると、受付順が常に正しいわけではありません。

胸痛の患者さん、呼吸苦の患者さん、意識がぼんやりしている患者さん、強い腹痛の患者さん、小児でぐったりしている患者さんなどは、早く状態を確認する必要があります。

患者さんやご家族からすると、「先に来たのに、後から来た人が先に呼ばれた」と感じることがあります。

ここで説明が不足すると、クレームになります。

でも、病院としては、重症度や緊急度に応じて診療順を調整する必要があります。

この考え方を院内で明確にし、患者さんにも周知することが大切です。

200床未満の病院で確認したいのは、まず時間外・休日・深夜の受診ルートです。

救急外来の入口はどこか。

受付は誰が行うのか。

患者さんの主訴はどのように記録するのか。

看護師に連絡する基準はあるのか。

「この症状ならすぐ看護師へ」というルールがあるのか。

このあたりを整理する必要があります。

特に、医事課や夜間受付の職員に、医学的判断をさせる形になっていないか注意してください。

受付職員は、診療申込書を書いてもらったり、保険証を確認したり、患者情報を入力したりする役割を担います。

ただし、緊急度の判断は、医療職が関与する仕組みにしておくべきです。

院内トリアージは、受付職員の責任を重くするためのものではありません。

むしろ、受付職員が困らないようにするための仕組みでもあります。

「この症状があればすぐ看護師に伝える」

「患者さんが待合でつらそうにしていたら声をかける」

「家族から状態悪化の申し出があれば、すぐ看護師に連絡する」

こうしたルールがあるだけでも、現場の安心感は変わります。

また、再診患者さんにも注意が必要です。

今回の資料では、院内トリアージ実施体制加算は初診・再診患者の評価として示されています。

従来の感覚で「初診だけ」と思い込んでしまうと、運用を誤る可能性があります。

もちろん実際の算定は、救急外来医学管理料等との関係で確認が必要ですが、救急外来の運用としては、初診か再診かだけで緊急度を判断してはいけません。

かかりつけ患者さんでも、急変はあります。

むしろ、基礎疾患がある方ほど注意が必要です。

この加算への対応では、算定対象を医事課だけで確認するのではなく、救急外来の流れ全体で確認してください。

対象となる時間帯。

対象となる診療料。

救急搬送患者との違い。

ウォークイン患者への初期対応。

受付、看護師、医師の連携。

これらを整理することで、算定判断だけでなく、救急外来の安全性も高まります。

院内トリアージ実施体制加算は、単なる医事算定の話ではありません。

時間外・休日・深夜に来院する患者さんを、病院としてどう安全に受け止めるか。

その体制を問われている改定だと考えてください。

→目次に戻る