こんにちは。M&Cパートナーコンサルティング代表の村上佳子です。
今回は、クリニックに最も関係しやすい「外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)」についてお話しします。
令和8年度改定では、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)の点数が見直されました。改定後は、初診時17点、再診時等4点、訪問診療時は同一建物居住者等以外の場合79点、それ以外の場合19点とされています。これだけを見ると、「初診は17点、再診は4点」と覚えればよさそうに見えます。
ただ、ここで注意が必要です。
この17点・4点という点数は、令和8年度から新たに賃上げを行う施設の基本的な点数です。令和7年度以前から継続して賃上げを行っている医療機関では、令和8年6月から令和9年5月まで、初診時23点、再診時6点、訪問診療時は同一建物居住者等以外で107点、それ以外で26点となります。さらに令和9年6月以降は、新たに賃上げを行う施設で初診時34点・再診時8点、継続的賃上げ実施施設で初診時40点・再診時10点となります。
つまり、今回の改定は、「6点が17点になる」という単純な話ではありません。
これまでベースアップ評価料を算定し、実際に賃上げを続けてきた医療機関には、これまでの取組を続けるための追加的な評価があります。一方で、令和8年度から新たに算定する医療機関は、新水準の評価料を算定していくことになります。
先生方からすると、「結局、うちは何点を算定するのか」が一番気になるところだと思います。そのためには、まず自院が次のどちらなのかを確認する必要があります。
令和7年度以前から継続して賃上げを行っている医療機関なのか。
令和8年度から新たに賃上げを行う医療機関なのか。
この違いで、点数の見方が変わります。
また、点数が上がるということは、その分、職員さんへの賃金改善も求められるということです。ベースアップ評価料は、診療報酬として入ってきた分を、職員さんの給与や賞与、法定福利費などに充てる制度です。ですから、「算定できるから算定する」だけではなく、「その収入をどう職員さんに還元するか」までセットで考える必要があります。
クリニックの場合、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)だけで対応できるケースも多いと思います。ただし、外来患者数が少ない医療機関や、職員数に対して評価料収入が十分でない医療機関では、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)の検討が必要になることもあります。
まずは、直近の外来患者数、訪問診療の件数、職員数、現在の賃金水準を確認してみてください。
そのうえで、「見込まれる評価料収入はいくらか」「その原資をどのように職員さんに配分するか」を考えると、制度への対応がかなり具体的になります。
点数だけを見ると難しく感じますが、実務では、自院の立ち位置を確認することが第一歩です。

