退院後訪問指導料について解説致します。
- 退院後訪問指導料について
B007-2 |
退院後訪問指導料は、医療ニーズが高い入院患者(※厚生労働大臣が定める状態)が在宅療養に移行する際、安心して在宅での療養を継続できるよう、退院直後の1ヵ月間に入院保険医療機関の医師又は当該医師の指示を受けた当該保険医療機関の保健師、助産師または看護師が患者宅、介護保険施設又は指定障害者支援施設等において患者又はその家族等の患者の看護に当たる者に対して、在宅での療養上必要な指導を行った場合に算定することが出来ます。また、訪問看護ステーションや他医療機関の看護師等が患者宅等へ同行し、在宅療養等の必要な指導を行った場合にも加算としての評価がなされています。
※厚生労働大臣が定める状態の患者
(1)別表第8に掲げる状態の患者 ①在宅麻薬等注射指導管理、在宅腫瘍化学療法注射指導管理又は在宅強心剤持続投与指導管理若しくは在宅気管切開患者指導管理を受けている状態にある者又は気管カニューレ若しくは留置カテーテルを使用している状態にある者 ②在宅自己腹膜灌流指導管理、在宅血液透析指導管理、在宅酸素療法指導管理、在宅中心静脈栄養法指導管理、在宅成分栄養経管栄養法指導管理、在宅自己導尿指導管理、在宅人工呼吸指導管理、在宅持続陽圧呼吸療法指導管理、在宅自己疼痛管理指導管理又は在宅肺高血圧症患者指導管理を受けている状態にある者 ③人工肛門又は人工膀胱を設置している状態にある者 ④真皮を越える褥瘡の状態にある者 ⑤在宅患者訪問点滴注射管理指導料を算定している者 (2)認知症又は認知症の症状を有し、日常生活を送る上で介助が必要な状態の患者 |
算定の留意点
(1)指導又は指示内容の要点を診療録等に記載する。
(例:療養生活上の留意事項、褥瘡の処置、装着中および使用中の医療機器等の操作や管理、その他特記事項(薬の相互作用、介護サービス利用時の留意事項等)
(2)訪問看護同行加算を算定した場合、同行した訪問看護ステーション又は他の保険医療機関は、訪問看護療養費又は在宅患者訪問看護指導料、同一建物居住者訪問看護・指導料若しくは精神科訪問看護・指導料を算定できます。
(3)病棟の看護師等が退院後訪問指導を行った時間は、入院基本料の病棟勤務時間から除外する必要があります。なお、外来等に勤務する看護師等も算定することが出来ますので、体制の構築が重要となります。
(4)退院後訪問指導料を算定した場合は、同一の保険医療機関において、I016精神科在宅患者支援管理料は算定できません。
(5)退院後訪問指導料を算定した日において、C013在宅患者訪問褥瘡管理指導料は算定できません。
(6)退院後訪問指導料を算定した日において、同一の保険医療機関および特別の関係にある保険医療機関は、C000往診料、C001在宅患者訪問診療料(Ⅰ)、C001-2在宅患者訪問診療料(Ⅱ)、C005在宅患者訪問看護・指導料、C005-1-2同一建物居住者訪問看護・指導料、I012精神科訪問看護・指導料の算定ができません。ただし、退院後訪問指導を行った後、患者の病状の急変等により、往診を行った場合の往診料は算定できます。
おわりに
今回取り上げた退院後訪問指導料の他にも、入院患者の円滑な退院に向けて医療機関の多職種で取り組む「B007退院前訪問指導料(580点)」があります。併せて実施漏れや機会損失が無いように各職種で連携を図り、運用面の構築をお願いいたします。

能見 将志(のうみ まさし)
診療情報管理士。中小規模の病院に18年間勤務(最終経歴は医事課長)。 診療報酬改定、病棟再編等を担当。診療情報管理室の立ち上げからデータ提出加算の指導まで行う。