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医師の働き方について

医師の働き方改革と国際的な比較

2024年4月施行「医師の働き方改革」関連法とその課題

2024年4月に「医師の働き方改革」関連法が施行されました。この法案は、診療時間外や休日に業務を行う医師の過重労働を是正するために導入されたものです。年960時間、つまり週平均60時間の労働が上限とされているものの、多くの医師は現在も週60時間以上働いている状況が続いています。特に、消化器外科が最も労働時間が長く、次いで呼吸器外科、救急科、心臓血管外科が続いています。これらの診療科では、長時間に及ぶ外科手術が主な要因とされています。一方で、精神科や眼科、皮膚科は長時間労働の割合が比較的少ない診療科です。

アメリカの医師の働き方

アメリカでは、医師の働き方が柔軟に認められています。働いた日数や診療した患者数、処置の数によって給与が変動するため、多くの医師は1か月に2〜3週間程度しか勤務しません。アメリカの給与体系は、日本の固定給制とは異なり、歩合給が主流です。この柔軟な働き方は、特に子育てをしながら働く女性医師にとって働きやすい環境を提供しており、産前産後でもキャリアを継続しやすい点が評価されています。

オーストラリアの医師の労働環境

オーストラリアでは、医師は5〜6週間の長期休暇を取ることが強く推奨されており、労働時間が厳格に管理されています。時間外労働に関するチェックが非常に厳しく、業務の途中であっても規定の時間になれば退勤しなければならない制度が徹底されています。このような背景には、「システムや構図で診察をしていく体制作り」や「役割の明確化」があり、その役割を担うための専門医になるためには「僻地での診療」というプログラムを行う必要があります。このプログラムは「医師の偏在」も解消しており、非常に注目すべき特徴です。

日本における今後の課題

日本においても、こうした海外の徹底したルール作りやシステムの構築を学びながら、柔軟な改革を進めていく必要があります。さもなければ、長時間労働と過重労働が続く消化器外科や呼吸器外科の医師がさらに減少し、医療の質が低下する危険性があります。

原田 和将

一般社団法人 アジア地域社会研究所 所属
介護現場での管理者としての経験を活かした職員研修、コーチングを中心に活動。コーチングはITベンチャーなど多岐にわたる業態で展開。国立大学での「AIを活用した介護職員の行動分析」の実験管理も行っており、様々な情報を元にした多角的な支援を行う。