「予約がいっぱいなので、PTをもう1人採用しようと思っています」
ここまで来たら、次に考えたいのが収支です。
患者さんのためにリハビリを充実させることは大切ですが、クリニックとして継続できなければ意味がありません。
そこで今回は、あえて数字の話をしてみます。
「予約がいっぱい」と「増員が必要」は違う
まず確認したいのは、
本当に人が足りないのか
です。
例えば、夕方だけ予約が集中している。
特定の曜日だけ満員。
キャンセルが多く、その穴が十分に埋まっていない。
記録業務が診療時間内に集中している。
このような場合は、人を増やす前に運用改善できる可能性があります。
一方で、
「新しい患者さんを断っている」
「初回リハビリまで何週間も待つ」
「病院から紹介されても受け入れる枠がない」
という状態なら、増員を具体的に検討する段階です。
PT1人で、何単位実施できるのか
リハビリ部門の収支を見るときには、
PT1人当たり、1日何単位を実施できるか
を見る必要があります。
ただし、単位数だけを追えばよいわけではありません。
初回評価があります。
記録があります。
医師との情報共有があります。
紹介元への報告があります。
患者さんやご家族への説明もあります。
新人PTなら教育の時間も必要です。
ですから、
「制度上可能な最大数」と「無理なく継続できる実施数」は違う
と考えた方がよいでしょう。
給与だけを人件費と思わない
もう一つ大切なのが人件費です。
例えば、
「PTの給与は月30万円だから、30万円以上売り上げればよい」
とはなりません。
社会保険料の事業主負担。
賞与。
退職金制度。
採用費。
研修費。
制服やパソコン。
追加の設備。
これらも含めて考える必要があります。
つまり、
「給与」と「1人を雇用する総コスト」は違う
ということです。
採用前に3つの数字を出す
私は最低でも、
①現在、受け入れられていない患者さんが何人いるのか②増員した場合、1日何単位くらい実施できそうか③そのPTを雇う総コストはいくらか
を確認することをおすすめします。
そして、
患者さんが予定ほど増えなかった場合。
キャンセルが増えた場合。
採用直後は十分に稼働できない場合。
といった少し厳しいケースも考えます。
それでも成り立つのであれば、採用の判断はしやすくなります。
採用は「地域への約束」
私は、PTを1人採用することを単純なコストとは考えていません。
それは、
「今まで受け入れられなかった患者さんを、これからは受け入れます」
という地域への約束でもあります。
だからこそ、
地域ニーズを調べる。
診療の流れを整える。
数字を確認する。
そのうえで採用する。
この順番が大切です。
次回は、増やしたリハビリの力を地域でどう生かすのか。
特に、
病院から退院する術後患者さんを、地域の整形外科クリニックがどう受け止めるか
を考えてみましょう。

文責:株式会社M&Cパートナーコンサルティング
作成日:2026年9月21日
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