整形外科の先生から、
「もう少しリハビリを増やしたいんですよね」
というご相談を受けることがあります。
予約がいっぱいになってきた。PTをもう1人採用したい。リハビリ室を広げたい。
もちろん、どれも大切な話です。
でも私は、その前に一つ質問します。
「先生の地域では、どんな患者さんがリハビリで困っていますか?」
実は、ここがリハビリ部門を拡大するときの出発点だと思っています。
「高齢者が増えるから」だけでは足りません
「高齢者が多い地域だから、リハビリ需要はありますよね」
確かにそうです。
ただ、高齢者と一口に言っても必要な支援は全く違います。
変形性膝関節症で歩くのがつらい方。
骨折や人工関節の手術を終えて病院から退院したけれど、まだ以前の生活には戻れていない方。
外来リハビリを続けたいけれど、通院そのものが難しくなってきた方。
さらに、働く世代の腰痛や肩の障害、地域によっては学生のスポーツ障害へのニーズもあります。
ですから、
「高齢者が増えるからリハビリを増やそう」
ではなく、
「地域で、どんな患者さんへの支援が足りていないのか」
から考えてほしいのです。
常勤医師1名だからこそ、全部はできない
今回のシリーズでは、常勤医師1名体制の整形外科クリニックを想定しています。
ここはとても大切です。
診察も、治療方針の決定も、リハビリの適応判断も、症状が変化したときの医学的判断も、基本的には院長1人に集まります。
そこへ、
「スポーツリハもやろう」
「術後患者もたくさん受けよう」
「訪問リハもやろう」
と次々に足していけば、PTより先に院長が限界を迎えてしまいます。
だからこそ、
「何を増やすか」の前に「何を担うか」を決める。
これが重要です。
例えば、
「近隣病院から退院した術後患者を、地域でしっかり受け止める」
という役割。
あるいは、
「高齢者ができるだけ長く自分の足で生活できるよう支える」
という役割。
働く世代が多い地域なら、
「仕事を続けながら通える運動器リハビリ」
を強みにすることも考えられます。
役割が決まれば、必要な人材も設備も変わります。
リハビリ部門は「奥の部屋」ではない
もう一つ、ぜひ考えていただきたいことがあります。
これからのリハビリ部門を、
「診察が終わった患者さんが、奥の部屋でリハビリを受ける場所」
だけで考えないでほしいのです。
診察からリハビリへつなぐ。
リハビリ中の変化を医師へ戻す。
病院から退院してきた患者さんを受け入れる。
必要なら介護サービスや地域の支援へつなぐ。
そう考えると、リハビリ部門は、
「診察室と患者さんの地域生活をつなぐ部門」
になります。
私は、ここに地域の整形外科クリニックの大きな可能性があると思っています。
このシリーズでは、人を何人採用するかという話だけではなく、地域ニーズ、施設基準、診療の流れ、採用と収支、病院連携、医療と介護の接続まで順番に考えていきます。
次回はまず、
「そもそも地域では、どんなリハビリが足りていないのか」
その調べ方から始めてみましょう。

文責:株式会社M&Cパートナーコンサルティング
作成日:2026年9月21日
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