前回は、
「地域で、どんな患者さんへの支援が足りていないのか」
を考えることから始めましょう、とお話ししました。
では、地域ニーズはどうやって調べるのでしょうか。
人口統計でしょうか。
JMAPなどの地域データでしょうか。
もちろん、どちらも大切です。
でも、それだけでは十分ではありません。
最初に見るべきは、自院の患者さん
私はまず、直近2~3か月くらいの自院の患者さんを調べてみることをおすすめします。
例えば、
「リハビリを提案したけれど、予約が取れなかった患者さんは何人いたか」
「初回リハビリまで何日待っているか」
「途中で来なくなった患者さんは、なぜ来なくなったのか」
「どんな疾患、どんな年代の患者さんが多いのか」
といったことです。
ここを見るだけでも、かなりのことが分かります。
例えば、
「予約表はいつもいっぱいなのに、新患を入れる場所がない」
のであれば、受入能力に問題があります。
一方で、
「リハビリを開始しても数回で来なくなる患者さんが多い」
のであれば、PTを増やすだけでは解決しません。
時間帯が合わないのか。
患者さんがリハビリの目的を理解できていないのか。
通院する負担が大きいのか。
問題によって対策は変わります。
病院には「紹介してください」ではなく「何に困っていますか」
次に、ぜひ見てほしいのが地域の病院です。
特に、整形外科手術を行っている急性期病院や、回復期のリハビリを担う病院です。
ここで、
「患者さんを紹介してください」
と営業する必要はありません。
それよりも、
「退院後の患者さんで、どんなケースの受け皿に困っていますか?」
と聞いてみてください。
人工膝関節や人工股関節の術後なのか。
骨折後なのか。
高齢者なのか。
働く世代なのか。
「退院はできる。でも、その後に通えるリハビリ先が少ない」
という課題が見えてくるかもしれません。
そこに自院の役割があります。
ケアマネジャーの声もヒントになる
高齢者が多い地域なら、ケアマネジャーの声も非常に参考になります。
例えば、
「外来リハビリには通えていたけれど、最近は通院が難しい」
「医療保険でのリハビリが一区切りした後、どこにつなげたらいいか分からない」
といった声です。
これが多い地域なら、医療と介護をつなぐ機能が不足している可能性があります。
将来的に通所や訪問を検討する材料にもなります。
ただし、
ニーズがあるからといって、自院ですべてを持つ必要はありません。
地域の事業所と連携するだけで解決できることもあります。
地域データは「答え」ではなく「地図」
JMAPなどを使えば、
高齢者人口。
将来人口。
近隣の医療機関。
医療・介護資源。
といったものを確認できます。
非常に便利です。
ただし、データだけでは、
「近くに施設はあるけれど、実際には予約が1か月先」
ということまでは分かりません。
だから私は、
地域データ+自院の患者+病院+ケアマネジャー
の4方向から見ることをおすすめします。
探すのは「患者が多い場所」ではない
地域ニーズというと、
「65歳以上人口が何人いるか」
「競合医院が何軒あるか」
といった数字に目が行きます。
でも本当に探したいのは、
「患者さんへの支援が途切れているところ」
です。
そこを自院が埋められるなら、患者さんにとっても価値がありますし、地域から必要とされるクリニックにもなります。
次回は、
常勤医師1名でも、どこまでリハビリ部門を広げられるのか。
運動器リハビリの施設基準や人員体制の考え方を整理します。

文責:株式会社M&Cパートナーコンサルティング
作成日:2026年9月21日
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